■縁側で囲碁 町家も「衣替え」

 簾(すだれ)が優しい影をつくる。パチリ、パチリ。夏の町家に碁石の音が響く。「教えるのはなしやで」。子どもは周りの大人にくぎを刺す。蚊取り線香がほのかに香った。

 京都は町家も「衣替え」する。上京区の山本彰彦(てるひこ)さん(70)宅は障子や襖(ふすま)を蔵にしまい、簾や葦戸(よしど)で風通しのよい座敷を演出する。

 衣替え当日は嫁いだ娘も帰ってきて、家族総出で汗をかく。座敷にクーラーはない。「毎年大変でも、年中行事やから」と口をそろえる。

 孫たちが縁側に碁盤を出してきた。「次は負けへん」。いつまでも飽きない。風が入ってきた。「先人は自然の建具で四季を巧みに乗り切ったんですね」と山本さん。汗はすっと引いていった。


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