■朝の托鉢 縁つなぐ

 「ホォーーーゥ」。野太い声が雲水の来訪を告げる。京都市右京区嵯峨鳥居本。石畳を素足で履いたわらじで踏みしめる。

 臨済宗の本山が多い京都は、古くから托鉢(たくはつ)が街に根付く。天龍寺(同区)では末尾が一、三、六、八の日に行う。

 雲水たちの生活を支えるのはもちろんだが、栂承昭(とがじょうしょう)宗務総長(67)は「自分を殺して頭を下げる修行でもある」と説明する。

 だが、最近はお布施をする人が減った。「朝からうるさい」と寺に電話が入ることもあるという。

 「ホォーゥ」。声を聞きつけた老婦人が軒先に姿を見せた。一枚の硬貨がつなぐ縁。施した老婦人も深々と頭を下げた。冬の冷気に朝日が差す。両者を優しく照らし出した。


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