■銀幕ほのぼの 夢の時間

 始まりを待っている。真っ赤なビロード張りの座席に腰掛けて。ふいにブザーが鳴った。待ちわびた場内に静けさが広がる。

 京都市東山区の祇園会館。貸館として昭和33年にオープンし、間もなく映画の二番館となった。入れ替えなし。食べ物の持ち込みは自由。昔ながらの興行スタイルを今に残す。

 「休憩時間には席で弁当を食べる人も。気軽な感じを大切にしている」。古原崇社長(84)は胸を張る。

 シネコン(複合映画館)の進出で街の映画館は減った。だが、同会館は平日でも中高年の客が席を埋める。

 場内が暗くなった。映写機がスクリーンに光を投げかける。せんべいの袋を開ける音とともに、夢の時間の幕も開く。


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