■花街の夜 変わらぬ光景

 花街の夜。そば屋の岡持ちが行く。めんが伸びぬように素早く。汁をこぼさぬよう丁寧に。塩梅(あんばい)が大切だ。

 京都市東山区新橋通花見小路東入ルの「常盤」は大正11年の創業時から出前を続ける。祇園という場所柄、お茶屋や置屋からの注文を見込んで始めた。お座敷前の芸舞妓らの小腹を満たしてきた。

 「今はスナックやクラブからの注文の方が多いかな」。店主の山田淳さん(62)は話す。かつては花街出入りの八百屋や魚屋などが並んだ店のまわりも、テナントビルが目立つようになった。

 真夜中。出前は途切れない。スナックの客らが「シメ」にそばやうどんを注文する。カツオと昆布の京風だしは誰の五臓六腑(ろっぷ)にも優しく染みわたる。


前の記事あのころ ちかごろ top次の記事