■木造学舎に染み込む 弦楽器の音

 苦手なフレーズを繰り返す。音楽が汚れた壁やすり減った床に反響し、廊下を満たしていく。

 京都大吉田キャンパス(京都市左京区)の学生集会所で、交響楽団の学生が弦楽器の個別練習にいそしむ。99歳の木造建築は、完成した帝大の時代から、講演会や茶話会が催され、学生の文化活動が行われた中心地の一つだった。

 「毎日4、5時間を過ごした」。安藤卓也さん(22)は振り返る。先輩に一からチェロを教わった。時に厳しかった指導も、4年生になった今ではいい思い出だ。

 窓から差す西日も暖かくなった。春になれば、古株は去り、新人を迎える。顔ぶれが変わっても、反復練習は続く。失敗を繰り返しながら。


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