■大衆の味 受け継ぐ

 のれんをくぐるとだしが香る。大理石のテーブルは昭和8年の開店時から使っている。ただ、運ばれてくるうどんの値段は「銭」から「円」に変わった。

 京都市東山区の「力餅(もち)食堂松原東山支店」は昼時、地元の住民らでにぎわう。関西各地にある大衆食堂の「力餅」は京都が発祥の地だ。のれん分けを繰り返し、京都では昭和50年代の最盛期、約45軒まで増えたが、現在は半分以下になった。

 牛丼やファストフード店など外食産業は多様化した。後継者不足で、高齢の店主が店をたたむケースが多いという。

 「父の代で終えるのはもったいない」。松原東山支店3代目の加藤広伸さん(34)はのれんを継ぐつもりだ。店内は、昔ながらの味を求める常連客と家族の思い出でいっぱいだから。


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