■古い駅舎は自動化の終点

 出町柳駅を出た展望列車は住宅街を抜けると、ぐんぐん傾斜を登っていく。終点の古い木造駅舎にたどり着いた。

 京都市左京区の叡山電鉄鞍馬駅。1929(昭和4)年、鞍馬線の全線開通に合わせて開業した。鞍馬寺の最寄り駅であるため、お堂のような外観に仕上げた。最近、蛍光灯から変えたという電球の黄色い光がレトロな旅情を誘う。

 半面、勢力を増した「自動化」に時代の流れを感じる。売店は自動販売機に変わった。自動券売機や自動改札機も設置された。

 次の電車がやって来た。ホームに降りた途端、乗客は緑の香りに包まれる。悠久の自然が残る鞍馬山が目前に迫る。古い駅舎は街から続いた「自動化」の終点も兼ねているのかもしれない。


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