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Kyoto Shimbun 渡り鳥の生息域変化
都市河川で増加、湿地などでは現象 一月末、京都・鴨川。日本野鳥の会京都支部の探鳥会に参加し、左京区の丸太町橋から上流へと歩いた。
マガモが水辺を泳ぎ、オナガガモが飛び立とうとする。えさを探すコガモも見られる。「都市河川にしては鳥類の数が多い。増え始めたのはこの十年くらいですね」。野鳥の会の中村桂子副支部長は話す。野鳥の会によると、鴨川で一年間に観測された野鳥の数は昨年で八十六種。一九八二年には四十四種で、二十年近くでほぼ倍増した。
野鳥の会によると、より自然に近い広沢池(右京区)や桂川で鳥が減っているという。なのに、なぜ、街の真ん中を流れる鴨川で増えているのだろう。 確かに鴨川の水質は、生物化学的酸素要求量(BOD)と化学的酸素要求量(COD)が、一九八〇年ごろに十年前の半分以下になり、そのころから野鳥が増え始めたという。 それに加えて、須川恒・龍谷大非常勤講師はこんな見方をする。「鴨川では市民がえ付けをしている。それに、人が危害を加えず、安全なことを、水鳥が経験的に知ったのでは」 山岸哲京都大教授(自然史学)も、危ぐする。「琵琶湖や大阪湾など湿地や河口域の水辺環境を壊してきた影響で、水鳥が鴨川に移ってきたこともあるのでは。本来、水鳥は人間には近寄らないはずで、鳥と人には一定の距離があるのだが…」 山岸教授は、鳥を取り巻く環境の変化について▽地球温暖化による越冬地の南下▽湿地や山林の住宅開発、水田での農薬使用▽東南アジアでの森林伐採によるすみかや繁殖地の減少−などを挙げ、鳥の飛来減少をもたらしているという。さらに付け加えて、「とくに人間と生活の接点がある湿地や山里などで、鳥が減っているようだ」と指摘する。 琵琶湖の北湖では、天然記念物の渡り鳥オオヒシクイが今年も最高で一日四百七十七羽、見られた。だが湖岸堤道路や農地のほ場整備などで、えさ場や繁殖地になるヨシ原が年々減っている。最近は、プレジャーボートの増加が渡来する場所を狭めている。 「(湖北地方の)姉川河口から塩津湾まで二十キロ近くが、オオヒシクイの生息地だった。それが、現在は湖北町沿岸の二・五キロほどしかない」と、湖北町にある琵琶湖水鳥・湿地センターの清水幸男専門員は嘆く。「諫早湾では潮受け堤防を作ってからシギ・チドリ類が激減した。生息地には収容能力があり、生息地が狭まり少なくなれば、いずれ個体数が減り、絶滅する。琵琶湖でオオヒシクイがいなくなる恐れもある」と危機感を募らせる。 昨年七月、日本政府を含め国際間で鳥の生息地を保全しようと「東アジア地域ガンカモ類重要生息地ネットワーク」が発足した。一方、国内でも地域が一つになって湿地を保護する動きも出てきた。 宮城県田尻町の蕪栗沼で、九六年に県による治水目的の沼床しゅんせつ計画が持ち上がった。しかし、住民の反対などで計画は中止。干拓で農地となっていた水田も湿地に戻した。沼では、実地の環境教育などの試みが始まっている。 「鳥がすめないところに人がすめるのか」。湿地に戻す運動に取り組んできた日本雁を保護する会 の呉地正行会長はいう。「沼がなぜ必要か。その問いにさまざまな立場の者が、同じ思いを共有できるようにし、沼を持続できる形で子孫に残したい。それがさらに地域で、鳥を含めた自然を守ろうという動きを、作っていくはずだ」(2000年2月10日掲載)
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