Kyoto Shimbun


環境を考える
地域通貨「おうみ」

 地域の中の活動、物品、サービスの交換で使われ始めている「地域通貨」が、環境を守る面でも注目されている。実際のお金ではなく、人と人の善意や思いやり、志を橋渡しする方法で、「エコマネー」とも呼ばれる。地元産の低農薬野菜やリサイクル品の購入、環境保護活動への支援などで、地域の農家と消費者、市民ボランティアを結びつけ、交流を広げる役割が期待されている。

循環型社会へ笑顔を橋渡し

 草津市西大路町の草津コミュニティ支援センター。NPO(非営利組織)グループの活動を支える施設で、昨年九月に国内初のエコマネー「おうみ」を発行し始めた。

 センターによると、「おうみ」の利用登録は現在、三十六団体、約五十人。一おうみ=百円換算で、主婦を中心に「センターの事務や掃除」「子どもの一時預かり」「買い物代行」などの活動に対して、おうみを使うケースが多い。「感謝のしるし」の意味合いが強く、何にいくら支払うかは当事者が決める。

 環境の分野でいえば、今のところ中古のベッド、パソコンなどの譲渡に、おうみを使う程度。そこで、センターは環境につながる利用を増やす仕組みを検討している。

 センターの入り口で、地元農家が販売している低農薬野菜を、市民らはおうみでも買っているが、さらにおうみの利用として、市民が農作業を手伝うことで、農家からおうみをもらう。そのおうみを使って農家の野菜を買う。そうしたおうみを媒介とした循環で、安全な食材の提供と農家の負担減を狙う。

 このほか、市民が回収した牛乳パックを、再生紙の製造業者がおうみで買い取る。業者は牛乳パックを原料にティッシュペーパーを作り、市民はおうみで買う−という構想もある。

 センターの山本正雄さんは「環境、文化、歴史が調和した地域社会の発展に、地域貨幣を活用したい」と力を込める。

 エコマネーを環境に生かす活動は、国内ではまだ例が少ない。そうした中、昨年十一月、長野県飯田市では環境配慮に積極的な企業グループなどが、エコマネーによる地域活性化を市に提案している。

 エコマネーは、日本で生まれた言葉。海外では、一九八〇年代に欧米で始まった「地域交換・交易システム(LETS)」が原型で、今では約三千種の「地域通貨」が流通しているといわれる。

 九一年、米国ニューヨーク州イサカ市で始まった「アワー」は、おうみのモデル通貨。農家が有機作物を売る市場では、ほぼ全農家がアワーで支払いを受け入れるなど、市民生活に浸透している、という。

 課題も出ている。英国では、屋根修理のお礼に地域通貨を使うのは業務妨害と、建築業者が訴えた例もあるという。また、商品購入にかかる消費税など税制面の問題、既存貨幣との共存のあり方が指摘されている。

 「おうみ」導入の提案者で、今は奈良市内のNPO政策研究所事務局で活動する内山博史さん(二八)は「地域通貨の役割は多様だ。環境はその一つに過ぎないが、地元産品への注目など環境を考えるきっかけとして有効」と話す。

 その上で「既存の貨幣経済のシステムには、商品の長距離輸送に化石燃料を使ったり、自然を犠牲にしている側面がある。地域通貨に共感する人の輪が広がれば、だれが作ったか分かる品物を、顔が見える人間関係で直接やりとりするようになり、環境に配慮した商品やサービスが普及する」と、地域通貨の可能性を見すえる。(2000年4月14日掲載)


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