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Kyoto Shimbun
水素社会 始まる
左京でフォーラム 温暖化対策 急げ
◇パネリスト◇ 大聖泰弘さん(早稲田大大学院教授)専門は自動車の環境・エネルギー分野。環境省中央環境審議会臨時委員を務める。 塩路昌宏さん(京都大大学院教授)燃焼工学や内燃機関、熱流体工学を専門とする。水素エネルギー協会理事。 槌屋治紀さん(システム技術研究所長)工学博士。著書「燃料電池」 河口真理子さん(大和総研経営戦略研究所主席研究員)専門は環境経営。東京都環境審議会委員などを務める。 清水和夫さん(モータージャーナリスト)国内外の耐久レースに出場。燃料電池自動車に詳しく、講演や執筆を行う。 車見直しを/貯蔵法が課題 大聖 2010年以降は温暖化対策をさらに強化しなくてはならず、途上国は脱石油対策を急ぐ必要がある。車の低公害化の推進や新燃料の開発に加えて、省エネのために私たちが車の使い方を見直さないといけない。 塩路 電気は性質上、長時間大量に貯めることができない。貯蔵可能な水素は、電気を補完するエネルギーだ。早く普及させるためには貯蔵インフラの開発が不可欠だ。 槌屋 太陽電池の価格は、普及に伴い下がり続けている。2010年を過ぎると既存の電力と競合し、売電量が伸びる。そうなれば太陽光発電によって生産される水素の量も増加するだろう。 河口 水素の価値や役割が社会で認知されていない。石油や天然ガスと違って水素は(人工的に造り出す)2次エネルギーであり、電気と同じ発想で普及や活用を考える必要がある。 清水 速く力のある車に乗りたいというのがドライバーの欲求だ。ドライバーに我慢を強いる環境技術は長続きしない。温暖化の要因としては交通渋滞の影響も大きい。燃費を高めるだけでなく、渋滞を緩和するための交通施策も求められる。 大聖 トヨタが1997年にハイブリッド車を発売したら、2年後にナンバーワン企業に選ばれ、株価総額が2兆円に跳ね上がった。電気を併用するハイブリッドは、従来のガソリンエンジンの欠点を補い、長く活用される技術になる。 河口 投資家の間で環境ビジネスを扱ったファンドの人気が高い。「低炭素」「温暖化対策」を掲げた技術を市場は今後はますます選ぶだろう。 清水 米国カリフォルニア州は、来年度から年間48台の水素自動車を販売することを州法で義務づけた。京都議定書に基づく温室効果ガス削減の第1約束期間の期限である2012年に向け、州法はもっと厳しくなるだろう。 塩路 繰り返し使えるという水素の利点を最大限に発揮させるべきで、そのための仕組みを早く整えてほしい。 清水 車を造る側も使う側も、発想の転換が必要だ。急な発進や加速をしない運転方法で、20%も燃費を高めることができる。 槌屋 エネルギーはどんどん多様化してきている。温暖化防止へ向けてはエネルギーの地産地消を進めることも重要だ。
政府の長期的視野が必要
二酸化炭素の排出削減と経済の安定的な開発を両立させるには、化石燃料に替わるエネルギーの導入が欠かせない。なかでもモビリティー(輸送や移動)分野における水素エネルギーの活用は、もはや理論的な段階でなく、具体的に実行できる解決策が技術面で示されている。 長年にわたり水素を研究してきたBMW社(ドイツ)が開発した水素駆動の乗用車は、実際に100台がヨーロッパの道路を走っている。 こうした技術開発のステップを着実に1歩ずつ進めることは欠かせないが、社会全体で水素を活用するまで加速させるには、(民間レベルでは)限界がある。そのためには政府が果たす役割が非常に重要になる。 例えば水素の供給ステーションや水素が補給できる設備を備えた高速道路などインフラを整備し、民間の実行機関をコーディネートすることも必要だろう。何よりも政府がなすべきことは、水素社会実現に向けて、長期的な視野に立って一貫した施策を進めるという強い意志を示すことだ。
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