Kyoto Shimbun


環境を考える
古紙 偽装防止へ 識者に聞く

 製紙会社が古紙の配合率を偽った問題は、企業や行政、市民が一体となって環境に配慮した商品を普及させる「グリーン購入法」の信頼性を揺るがせた。再発を防止するための方策と古紙の活用に向けて市民一人一人にできることは何か。NPO法人(特定非営利活動法人)「環境市民」=京都市中京区=の堀孝弘事務局長(48)と、NPO法人「使い捨て時代を考える会」=下京区=の槌田劭(たかし)相談役(72)に聞いた。(社会報道部 秋元太一)

グリーン購入 揺らぐ信頼

再発防止へ外部の目を
NPO法人「環境市民」堀 孝弘 事務局長

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NPO法人
「環境市民」
堀 孝弘 事務局長

 −グリーン購入ネットワークの一員として、今月上旬に製紙11社と面談して感じたことは?

 「製紙会社は『ユーザーが要求する質を満たすには古紙の配合率を下げざるを得なかった』というばかりだ。上質な紙が古紙100%で作ることが技術的にできないというのなら、なぜそれをもっと早い段階で公表し、社会に働きかけなかったのか、との疑問が募った」

 −いつから偽装は行われていたのか。

 「何年から、どれだけの量を偽装したのか、という基本的な事実さえ、明解な返答はない。偽装の実態を明らかにしない限り、企業や業界としての責任論は前へ進まない。グリーン購入法の仕組みを利用して偽った製品を納入し、税金を詐取した重大性に対する認識が欠けていると感じた」

 −再発防止に必要なことは何か。

 「製紙業界(日本製紙連合会)が設置した古紙配合率問題の検証委員会には、行政関係者も環境問題に実績のある市民団体も入っておらず、あくまでもメーカー主導だ。自浄によるチェック機能が作用するとは考えにくい。メーカーから独立した外部の目で製品を検証する機関を国が主体となってつくり、市民団体や文具メーカーなども含めて、信頼性を確保することが必要だ」

 −古紙回収と製紙の仕組みが抱える課題は?

 「ビール会社が瓶を何度も利用しているような、製品と古紙が安定して循環する仕組みが十分に機能していない。製紙会社が社会的な責任で、出荷した製品の一定割合を、古紙として引き取るようなルールを確立する必要がある」


大量消費 見直す契機に
NPO法人「使い捨て時代を考える会」槌田 劭 相談役

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NPO法人
「使い捨て時代を考える会」
槌田 劭 相談役

 −消費者の立場から古紙偽装をどうとらえる。

 「古紙の配合率を偽ったことは詐欺に等しいが、製紙会社が言うことを信じて『環境によい』と手放しで商品を購入してきたのなら、紙を使うわれわれ一人一人の問題として受け止める必要がある。真っ白な紙に近いほど、製造工程で水や熱の使用量が増え、漂白する物質が必要だということに思いをめぐらせ、どんな紙が環境への負荷が少ないのか、立ち止まって考える教訓となった」

 −古紙再生の仕組みは機能しているか。

 「1973年に回収運動を始めた当時、回収業者や古紙問屋が環境保全の面で果たす重要性は社会的に認知されていなかった。オイルショックの紙不足で、パニック状態のように紙が集まりすぎて古紙価格は暴落し、零細業者は廃業に追い込まれた」

 −当時から変化したことは?

 「回収量は増えたが、製紙会社の買い取り価格に回収の動向が左右される構造的な課題は本質的に変わっていない。近年は価格が高値で推移しているのは、中国の需要が下支えしているからだ。需要と供給の安定した体制が国内だけで確立していない」

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 −紙を使う立場からできることは?

 「大量消費という生活様式を見直すことが重要だ。紙の消費量を野放しにして、回収量を上げても問題は解決しない。真っ白な紙をこれだけ大量に使う必要があるのか。一枚でも裏側を再び利用できるのか。色がくすんだり、ざらざらした紙をもっと使えないのか。事業所も市民も見詰め直す必要がある」(2008年2月19日掲載)

 グリーン購入法 環境に配慮した商品の購入を官公庁などに義務づけ、民間にも使用努力を促す。2001年施行。再生紙は代表的商品として、古紙配合率の基準を定めた。法を推進するため、企業と行政、市民が運営する全国組織「グリーン購入ネットワーク」が環境に配慮した商品の情報を提供している。


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