Kyoto Shimbun


環境を考える
京都発 バイオ燃料技術に期待

 植物から生産され、ガソリンに比べて温室効果ガスの排出を削減できると期待される燃料「バイオエタノール」。トウモロコシなどを原料とするため、食糧価格の高騰を招いて問題になっている一方で、食用でない植物を利用する研究が国内外で進められている。なかでも海の植物である海藻や稲わらを原料とする方法が、「京都発」の技術として注目されている。(社会報道部 松下亜樹子)

海 藻 日本海に養殖場構想
稲わら 休耕田使い一石二鳥

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海中でロープに固定され、養殖されるホンダワラ(京丹後市丹後町・竹野漁港)=京都府立海洋センター提供

 「日本は海に囲まれた国。海藻の潜在的な利用価値は大きい」。12日、東京都内の三菱総合研究所で開かれた海洋バイオマス・シンポジウムで、京都府立海洋センター(宮津市)の研究員竹野功璽さん(51)は説明した。

 バイオエタノールは二酸化炭素(CO2)を吸収して育った植物を原料とするため、ガソリンや軽油を燃料に使う場合よりCO2の排出量を減らせるとされる。主な製法は酒と同じで、原料の糖質を発酵させて蒸留する。穀物やサトウキビからは作りやすいが、ほかの植物では作りにくいのが最大の課題だ。

 食糧との「競合」を避け、大量のバイオエタノールを生産するには、食べられる部分を除く葉や茎、または食用外の植物を原料にする必要がある。そこで注目されたのが、陸の植物と同様にCO2を吸収する海藻。海藻養殖技術の特許を持つ府立海洋センターと、三菱総研などの企業が共同研究を進め、将来のエタノール生産の商業化を構想している。

 「今考えているのはホンダワラの養殖。つくだ煮やサラダとして丹後地方ではよく食べられていますが、約50種あるホンダワラの仲間には食用外の種類も多い」と竹野さんは言う。その種苗を、同センターが開発した水槽で効率良く育成。構想では日本海中央部の大和堆(やまとたい)と呼ばれる浅瀬に1万平方メートルの巨大養殖場を作り、収穫した海藻を細胞レベルで脱水し発酵、蒸留する。最も難しい脱水には京都のベンチャー企業の技術を生かすという。

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バイオエタノールの生産実験。黄色の液体にコリネ型細菌と糖類が混合されている(木津川市木津川台・RITE)

 「海藻の細胞には水とともにレアメタル(希少金属)も含まれる。これらを回収利用すれば全体のコストを下げられる」と三菱総研の担当者は話す。2025年ごろの本格稼働を目標に、より効率的な生産プロセスの研究や周辺海域の生態系への影響調査を進めるという。

 一方、稲わらや雑草を原料に研究を進めているのが、地球環境産業技術研究機構(RITE、木津川市)だ。湯川英明さん(60)らの研究チームは、酒造用の酵母より「強力」なコリネ型細菌と呼ばれる微生物を遺伝子組み換えでさらに改良し、高効率で草をエタノールに変換する技術を世界に先駆けて確立した。

 「最新の実験データでは、稲わら1キロから約3分の1の重さ(300−350グラム)のエタノールが作れます」。湯川さんによれば、生産過程で必要なエネルギーを考慮しても、1リットルのエタノールを使うごとにCO2、1・7キロを削減できる計算になるという。その効果はトウモロコシ原料のエタノールを大きく上回る。

 草は商品作物に比べて栽培地の気候や土質を選ばないため、休耕田や耕作放棄地の活用、地方の雇用創出も期待できる。貧困国の農業振興にもつながる。「CO2削減だけでなく、さまざまなプラス効果を生み出せる」と湯川さん。自動車メーカーのホンダと提携して08年度、国内に生産実験施設を造る計画だ。(2008年3月18日掲載)


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