Kyoto Shimbun


環境を考える
脱クルマ社会

 暮らしの足として親しまれる自転車が、自然環境に負荷をかけない乗り物として再評価されている。一九九七年の地球温暖化防止京都会議を機に、温室効果ガス削減の視点から注目が集まり、京都では大学生や市民団体が自転車で走りやすいまちづくりを求めて、活動している。放置自転車対策が主だった行政も、専用道の整備や住民向けレンタサイクルに乗り出した。脱クルマ社会の都市交通を考えるうえで、自転車にかかる期待は大きい。

市民らがまちづくり活動

 「自転車に乗ると、走りながら自動車の排気ガスや街の緑について考え、環境問題が身近になります」。京都市左京区の洋書店経営、右衛門佐美佐子さん(四八)は、京都会議開催をきっかけに、乗れなかった自転車の練習を始め、今では市内の移動だと自動車にほとんど乗らなくなった。

 右衛門佐さんもメンバーの市民団体「温暖化防止京都ネットワーク」(事務局・中京区)は昨年十一月、市民の声を集め、まちづくり案「自転車を活かすまち京都」をまとめた。京都は地形の高低差が小さく、自転車移動に適しているとして、通勤、通学、観光で自転車が走りやすい街の姿を描いている。

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阪急桂駅で始まった都市型レンタサイクル。新たな交通手段として市民に定着するか、期待がかかる(京都市西京区)
 具体的には、京都市内の繁華街を例に、商店街の共同駐輪場の設置や、駐車場の一部転用を提案。さらに歩行者、自動車と分離した「自転車幹線道路」を御池通、堀川通、五条通などに作り、中心部の三条通や寺町通への自動車乗り入れ禁止を求めている。

 右衛門佐さんは「提案で終わらないよう、環境以外の市民団体とも連携したい」と、活動の広がりに期待する。

 大阪、神戸に比べ、京都は住民の自転車保有率が五人に三台と高い。ところが、京都を自転車で走ると、車と歩行者にはさまれ、肩身の狭い思いをする。自転車にとって快適な街にするには、市民の意識改革だけでなく、行政による自転車環境の整備が不可欠だ。

 運輸白書(平成十一年度版)によると、一九九七年度の二酸化炭素の国内排出量のうち運輸部門は二〇・九%に上り、そのうち自動車の排出分が九割を占める。そうした背景から、温室効果ガス削減のため、積極的に自転車を活用しようと動く自治体も増えている。

 熊本県八代市は、自転車道路の整備に力を入れ始めた。球磨川の河口に位置して、地形がほぼ平坦で、市街地も二、三キロ圏内にまとまっている。市は廃線の鉄道跡を利用して自転車・歩行者専用の道をつくり、自動車排除の「自転車街路」、時間規制による「自転車レーン」も設ける計画を立て、すでに自転車・歩行者道は約二・五キロ完成した。

 京都市もこのほど、自転車専用道の整備や都市型レンタサイクル実施を盛り込んだ「京都市自転車総合計画」をまとめた。駐輪場の設置義務をパチンコ店や銀行などに広げるため条例も改正した。市の働きかけもあり、六月一日から阪急電鉄は桂駅(西京区)で市内初の都市型レンタサイクルを始めた。

 自転車とまちづくりを研究している九州東海大(熊本市)の渡辺千賀恵教授は「地球温暖化防止の視点は、自転車利用の促進に大きな追い風だ」と話した上で、課題も指摘する。「環境問題に関心がある人はすでに自転車利用に動いており、一般市民にどう広がり、定着するか。家計の負担減、子どもの安全教育など生活に直接かかわる問題からも、自転車の長所を訴えるべきだ」(2000年6月9日掲載)


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