Kyoto Shimbun


環境を考える
遺伝子組み換え

 除草剤をまいても枯れない大豆、葉を食べると「害虫」が死ぬトウモロコシ。食糧増産のために開発された遺伝子組み換え作物が、波紋を呼んでいる。身体や子孫、生態系に影響はないのか、消費者から安全性に不安の声も上がっている。日本では来年四月から、作物や加工食品に「遺伝子組み換え」の表示が義務づけられるようになる。未知の部分が多い遺伝子組み換え食品に、私たちはどう向き合えば良いのだろうか。

安全性に不安 使用の表示や審査義務化へ

 京都市北区の会社員石原祐子さんは豆腐や油揚げを買う時、材料が国産か有機栽培かどうかを必ず確認している。「遺伝子組み換えのものは、口にしたくないんです」

 京都市が昨年九月に実施した市民の消費生活意識と行動に関する調査では、遺伝子組み換え食品について「身体に安全か」(七五・五%)、「生態系を壊すのでは」(六八・八%)といった不安を抱く回答が大勢を占めた。

 遺伝子組み換え作物は、別の植物の遺伝子を組み入れて、除草剤や害虫に対する耐性を強くした農作物。大豆やジャガイモ、トウモロコシ、トマトなどが、主にアメリカやカナダで栽培され、輸出もされている。

 遺伝子組み換え食品の問題点について、同志社大の西岡一教授(生化学)は、次のように指摘する。遺伝子組み換えの際に、未知の有害遺伝子が入り込み、新たな病気を引き起こす恐れがある▽生態系に影響を与えるのでは▽遺伝子組み換え企業が農業を独占する恐れがある▽安全性試験が企業主体で、透明性に欠ける−。

 さらに「組み換えかどうかは、見た目で全く判別できない。収穫や輸送中に、他の作物と混ざることもある」と付け加える。

 厚生省は、遺伝子組み換え作物輸入に対処するため、一九九一年に「安全性評価指針」を作った。欧米の業者による安全性テストのデータを求め、調査会が審査して安全を確認しているが、任意のため実効性に乏しいという指摘もある。

 納豆や豆腐などの食品の原料には、輸入作物が多く使われているが、遺伝子組み換え作物かどうかの表示は、食品の容器や包装紙のどこにもなかった。このため、消費者団体などは自己防衛として、どんな材料を使っているかの表示を求める行動に出ている。スーパーなどでは消費者の要望にこたえて「有機栽培」「国産大豆」といった表示で、遺伝子組み換え食品ではないことを示す店が増えている。

 京都生活協同組合(本部・京都市南区)は昨年に識者や職員らで「食の安全基本政策策定委員会」を設置して、遺伝子組み換え食品への対応を検討。その上で今年三月の理事会は、「遺伝子組み換え食品を排除しないが、組合員が選択できるよう表示をする」との指針を決めた。

 指針に基づき、従来からあった原材料表示を徹底させる一方、豆腐や油揚げの材料、大豆については、四種類の包装で「有機栽培」「地元の丹波産」などと一目で分かるようにした。

 また、京都市内の百八十一小学校と三養護学校の給食を管轄する京都市教委体育健康教育室は、業者に遺伝子組み換えでない材料の納入を指導。豆腐や味噌、油揚げなどについては「遺伝子組み換えをしていない」との証明書を、業者から提出させている。

 厚生省は、来年四月から遺伝子組み換え食品の安全性審査を義務化する。農水省も同時に、豆腐やコーンスナック菓子など指定食品について、遺伝子組み換え作物の使用表示を義務化することになった。

 西岡教授は「遺伝子組み換え食品を食べ続けたらどうなるのか、それが分かるまでに長い時間が必要だろう。とんでもないことが起こる恐れも否めない。消費者が納得して商品を選べるように、食品に使われた材料の何%が遺伝子組 み換え作物なのかまで、国は表示の徹底を指導しないといけない」と指摘している。(2000年7月14日掲載)


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