Kyoto Shimbun


環境を考える
ISO取得

 企業の環境保全への取り組みを認め、保証する国際標準化機構(本部・スイス)の環境管理規格「ISO14000シリーズ」。日本は取得件数が約三千七百と世界一多い。厳しい環境対策を要求する欧米市場をにらみ、ISO取得を取引条件とする企業が増えているからだ。取り組みが遅れがちな中小企業に対しても、取得を助ける支援の動きが出始めている。

中小企業生き残りかけ認証取得へ

 町工場が立ち並ぶ京都市南区中久世。従業員十七人という小企業ながら、変圧器メーカー「保全工業」(田辺郊太良社長)は、三年前にISO14001を取得した。

 「当社の納入先は大手。環境問題に敏感な欧米への輸出も多く、いずれ製品や製造過程に厳しい環境対策が要求される。商売のためにはライバルに一歩先んじるべきと考えた」と、田辺社長はISO取得のねらいを話す。

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製造段階でむだを省き、リサイクルを進めることが業績向上にもつながる(京都市南区・保全工業)
 材料の銅線の再利用を進めるだけでなく、事務関連の紙の使用量を減らすなど、地道な取り組みを一年間続け、認証取得を達成した。

 こうした環境への取り組みは、業績に好影響を与えつつある。今年に入り、配電盤の配線など新しい仕事が入るようになったのだ。田辺社長は「国際規格の認証を取得したことで、製品や仕事への信頼性が高まった」と自信を深める。

 ISO14000シリーズは、1995年に成立した環境管理・監査の規格。14001は環境管理システムを作るための手順などを定めている。ほかに、原材料調達から廃棄までの製品寿命全体の環境負荷をコントロールする14040などがある。

 現在、京都府内でISO14001を取得した企業、事業所は七十八カ所。いずれも大企業や公共施設で、保全工業のような小さな事業所の取得例は極めて少ないという。

 こうした現状を打開するため、行政が中小企業のISO取得促進に力を入れ始めた。京都府中小企業総合センターは、三年前から中小企業向けのISO取得講習会を開催している。

 ただ、まだ取得例はほとんどない。同センター技術部の近本武次主任研究員は「審査から登録までの費用数百万円や、取得のための文書作成などを、『業務外の仕事』ととらえる心理的な負担が壁になっている」と指摘する。

 一方で、大企業の中から、取引先の中小企業に対して環境対策を支援する動きが出てきた。電池メーカーの日本電池(南区)は今月から、環境に配慮した部品を優先購入する「グリーン調達」を導入した。約千八百の取引先に、遅くとも二〇〇三年九月までにISO認証取得を達成するよう求めた。

 厳しい条件を提示したわけだが、同時に中小・零細の取引先を対象にした、ISO取得のための講習会や情報交換会などを開催することにした。さらに京都市が市民団体などと共に作った簡易版ISO「京都・環境マネジメントシステムスタンダード」の認証を、ISO認証と同様に扱うことにし、取引先が積極的に環境対策を進めるきっかけも準備した。

 日本電池環境管理室の津村昭夫管理室長は「環境対策が企業業績を左右する時代に入った」と強調する。その上で「環境対策から逃げていては、企業として生き残れないという危機感を、取引先と共有していく必要がある」と支援の背景を明かした。(2000年10月13日掲載)


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