Kyoto Shimbun


環境を考える
ガーデニング

 自宅の庭やベランダで植物を育てる「ガーデニング」が流行している。都市の中心部を歩いても、家々の軒先に置かれた鉢植えの観葉植物や草花が目を楽しませてくれる。しかし、手軽に自然を身近に感じさせてくれるガーデニングが、やり方によっては環境破壊につながる恐れがある。農家と違って、成分や適量、危険性などの知識もなく、殺虫剤や除草剤を何気なく使っていないだろうか。環境にやさしいガーデニングを取材してみた。

「食べられる庭」耕そう

 京都市中京区のマンション。六畳ほどのベランダに、パセリやバジルなどさまざまなハーブが並ぶ。マリーゴールドやベゴニアなど季節の花も咲いている。

 世話をしている主婦(五三)は、二年ほど前からガーデニングを始めた。猛暑となった今夏、アブラムシやイモムシが発生し、花の葉が穴だらけになった。それ以来、虫をみつけると、こまめに殺虫剤を使う。

 「せっかく育てた植物を台無しにされてはたまらない。でも、どんな薬品が使われているのか、よくわからない」と話す。

 京都市内のホームセンターを訪ねると、園芸用の農薬が棚いっぱいに並んでいた。商品名と容器の表示から調べてみると、DDTやディルドリンなど毒性と残留性が強い有機塩素系農薬はなく、殺虫剤の大半はいわゆる「低毒性農薬」だった。

 一方で、環境庁や国立医薬品食品衛生研究所が「環境ホルモンの疑いがある」としているマラソン、マンネブ、カルバリルなど、有機リン系やカーバイト系の殺虫剤や殺菌剤も少なくなかった。米軍がベトナム戦争で「枯れ葉作戦」に使用し、ダイオキシンを含むとされる除草剤「2、4PA」や、医療用にも使われる抗生物質ストレプトマイシンも販売されていた。

 農薬に詳しい石田紀郎・京都大教授は「高温多湿の日本では、食料生産のためには多少の農薬を使わざるをえない。しかし、趣味の園芸に農薬という『毒』にもなるものをまくのは、自然に親しむというガーデニングの本質からはずれている。しかも、住居のすぐ近くで農薬を使えば、子どもやペットへの悪影響が心配ですね」と指摘する。

 環境にやさしいガーデニングを探ろうと、中京区の市民団体・環境市民が開いたパーマカルチャー(持続可能な園芸)講座をのぞいてみた。

 この日のテーマはたい肥用のコンポストづくり。講師の大学教員植月千砂さん(五一)=大阪府高槻市=が、家庭の生ごみとプラスチックの衣装ケースを利用し、バクテリアやミミズの力を借りて園芸用たい肥を作る方法を、図やプリントで詳しく説明していく。

 植月さんは「見た目は美しくても、農薬をまき散らした、虫もいない庭は不健康だし、不自然。私たちが目指しているのは『食べられる庭』をつくること」という。

 園芸家が最も気にする虫も、植物の組み合わせを工夫することで防除できるという。例えば、ニンニクやハーブをバラといっしょに植えると、害虫が寄りつきにくくなる。マリーゴールドとエンドウ豆を組み合わせれば、土中の線虫が抑えられる。

 園芸の歴史が長い外国では、そうした知恵が育まれてきた。植月さんは「風土は違っても、日本で実践できることは多い。土と生き物を大切にするパーマカルチャーの魅力を多くの人に知ってほしい」と話す。(2000年11月10日掲載)


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