Kyoto Shimbun


環境を考える
都市交通見直す

 東京都が昨年末の条例可決で、ディーゼル車規制を打ち出したのが触媒となり、利便性を最優先する従来の都市交通システムを、環境保全や高齢者福祉の視点から見直す動きが全国で活発化している。「いかに車を大量に走らせる」から「いかに車の流入を抑えるか」へ、交通政策の発想の転換ともいえる。京都市内でも、民間でパブリックカーの実験が始まり、市や経済界がLRT(次世代型路面電車)導入の検討に入るなど、さまざまな動きが出てきている。

車の流入 抑制を模索

 京都市左京区岡崎の市勧業館みやこめっせの一角に、ユニークな外観の電気自動車が止まっている。自動車共同利用の実証実験として、昨年十二月から民間ベースで始まった「京都パブリックカーシステム」の車両ステーションだ。

 車を借りに来た伏見区の主婦(四四)は「子どもの送迎や、買い物に使っています。維持費がかからず、便利で経済的」という。システムのモニター会員(無料)は現在、二百六十人。充電設備がある車両ステーションは市内に六カ所あり、二人乗り電気自動車三十五台が配置されている。

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動きだした自動車の共同利用。近い将来、こうした車両ステーションが京都市内各地に現れるかもしれない(京都市左京区岡崎・みやこめっせ)

 システムを運営する最適化研究所(中京区)の藤森義弘社長は「一回の充電での走行距離は約八十キロだが、市内なら問題ない。ステーションで乗り捨てもできる。得意先回りに使っている営業マンもいる」という。

 電気自動車は排気ガスを出さないため、都心の空気を汚さない。化石燃料などによる電気を使うが、経済産業省の外郭団体、新エネルギー・産業技術総合開発機構によると、ガソリン車に比べてエネルギー効率が良く同じ距離を走った場合、二酸化炭素(CO2)の排出は三割少ないという。

 藤森社長は「いずれは有料化し、観光客や一般市民に門を開きたい。京都まで電車やバスで来て、市内観光にはパブリックカーを利用してもらうパターンが築ければ、渋滞緩和だけでなく、京都観光の新しいモデルになる」と意気込む。

 環境保全と渋滞緩和に加え、まちの活性化という「一石三鳥」を狙う構想も動いている。

 環境都市づくりをめざし、京都市と市民、企業の代表でつくる「京のアジェンダ21フォーラム」の調査によると、四条河原町など繁華街へ行く際、市民が利用する交通機関は電車が四五%と最も多く、バス二七%、徒歩一二%、自転車九%、自動車六%だった。

 フォーラムに参加している市民団体「環境市民」の能村聡さんは「特に都心では、車が幅を利かせ過ぎている。歩行者と公共交通機関を優先した交通システムに変えれば、地元の商店街などの活性化にもつながる」と指摘する。

 昨年十一月中旬、地元商店街などが中心になり、三条通を三日間、歩行者天国にする試みが行われた。大勢の家族連れが訪れ、売り上げが四割伸びた商店もあったという。

 「安心して歩ける」「ベビーカーに吹きかかる排ガスの心配がない」「道路で遊べた」−アンケートには、歩行者天国に肯定的な声が相次いだ。

 能村さんは「車を規制すると、荷物の搬送が課題になる。パブリックカーをトラックに応用した新たな物流システムを作れないか」と提案する。

 一方、環境負荷が少なく、低床のため高齢者も利用しやすい交通機関LRTについて、京都商工会議所が昨年、検討委員会を立ち上げ、京都市も実現の可能性を研究することを決めた。

 市交通政策課の中村嘉次担当課長は「規制権限や財源確保、採算性、制度上の制約などさまざまな問題があり、交通政策は一筋縄ではいかないが、都心では車優先から歩行者と公共交通優先へ−という流れははっきりしている」という。市の推計によると 、京都市内の昨年のCO2排出量は、一九九〇年から一三%も増え、全国平均(約一〇%)を大きく上回った。環境にやさしい交通体系づくりが急がれる。(2001年2月9日掲載)


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