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Kyoto Shimbun 「緑のダム」機能重視へ
法改正で森林行政が転換 滋賀県と三重県の県境に近い滋賀県永源寺町の鈴鹿山系。幅三メートルほどの林道沿いに高さ四、五十メートルほどのスギ林が豊かな緑をたたえている。木々は高さ二十メートルの部分まできれいに枝打ちされ、山肌には間伐の切り株が残る。「立木を良質な木材として出荷するには、枝打ちや間伐といった手入れが不可欠なのです」。山林地主の小山一太郎さん(60)=近江八幡市=は力を込めた。
日本の森林は国土の65%にあたる約二千五百万ヘクタール。先進国では最大規模の森林国家で、このうち五分の二の一千万ヘクタールが、木材生産用にスギなどを植えた人工林だ。
日射が少ない森は、木の葉や枝などが腐ってできる土の層が浅くなり、「緑のダム」と言われる水源かん養機能も弱る。森林の荒廃が進み、大雨時に立木が土砂ごと流出する例も各地で相次いでいる。 国内林業が最も栄えたのは第二次世界大戦後から一九六〇年代にかけての約二十年間。住宅建築用の木材出荷を中心に振るったが、六四年に木材輸入が完全自由化されると、安い輸入材に押されるようになった。 木材需要は現在も拡大傾向にあるが、木材自給率は年々下がり、住宅用木材などに使われる製材用は32%、パルプ用は13%(いずれも九九年、農水省調べ)にまで低下。木材価格の下落も深刻だ。「間伐の費用を差し引くと利益はほとんど出ない」(小山さん)といわれ、山林地主の森林への手入れの情熱を失わせている。 改正農林基本法は、こうした現状を背景に、林業の生産性向上から、森林が持つ機能重視へと、転換を図った。林野庁は「今後は林業の振興とともに、森林が持つ洪水防止機能や貯水機能の保全などを重点的に進めていく」(経営課)と強調する。
林野庁の試算では、森林が果たす保水、防災などの機能は公共事業費に換算すると、年間約四十兆円に上った。巨額な事業費にも匹敵する機能を果たしている森林をどう育て、守っていくのか。山村だけでなく、都市にも関係の深い問題である。(2001年7月13日掲載)
林業基本法は森林行政を林業中心から環境、水土保全などに転換した。この背景には、一九九七年の地球温暖化防止京都会議で森林が二酸化炭素の吸収源として認められたことも大きく影響している。だが、林業を通じた山村振興が不要になったわけではない。 昨年の林業への新規就業者は約千八百人と決して少なくない。だが、受け入れる側の森林組合などが補助金の範囲内での仕事に安住し、山に関心を持って入ってきた人たちのやる気を削いでいる面がある。もっと経営感覚を持ち、木を使った新しい商品開発に取り組むべきだ。住宅や家具の材料としてだけでなく、柔軟な木材利用の道を開発する地道な努力が山村と森林行政に求められている。
おおなり・こういち 1968年東京都生まれ。京都大農学部を卒業後、銀行勤務を経て富山県利賀村の森林組合で3年間働いた。京大大学院農学研究科修了。
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