Kyoto Shimbun


環境を考える
健康に暮らせる家 模索

 人々が健康に暮らせる「環境住宅」づくりを目指す「バウビオロギー」が最近、京都市内の建築家の間でも広まりつつある。住宅建築の際に人の暮らしや健康を考え、資源やエネルギーを有効に循環させようという考え方だ。シックハウス症候群が増加するなか、「人が健康に暮らせるにはどうすればいいのか」という試みに注目が集まっている。

シックハウス症候群防止へ

 「バウビオロギー」とは「建築」「生物」「学問」を合成した言葉だ。約50年前にドイツの建築家が名付けて以降、スイスなどヨーロッパを中心に広まった。バウビオロギスト(環境建築士)も多く養成されている、という。

 京都では大工の経験を持つ建築家の渡辺公生さん(四七)=北区=が中心となり、来春に「日本バウビオロギー研究所(JIB)」を設立しようと準備を進めている。先ごろ5回連続の「環境講座」も始め、建築や建具、設計事務所の関係者約20人が集まった。

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渡辺さんが開いた「環境講座」。環境住宅への考えを互いに近づけるのが目的だ(10月20日、京都市北区)
 渡辺さんたちが「環境住宅」を目指す一つの理由に、建材に含まれる化学物質が原因で、新築や改築、改装後に体調不良になるシックハウス症候群を訴える人が増えているという背景がある。

 シックハウス症候群の調査と対策は、国レベルでも進み、厚生労働省は汚染物質の総量について指針値を定める中間報告書をまとめた。国土交通省も今年五月、建築基準法で化学物質を使う建材の使用を規制し、住宅に換気装置設置を義務付ける方針を固めた。

 京都府や京都市も6月から保健所に健康相談窓口を開設し、府民への助言や室内のホルムアルデヒド濃度の簡易測定も始めた。

 渡辺さんは「太陽光、湿度、風通しなどを調整するだけで、疲れやすかったり、呼吸しにくいという症状が解消される」と言う。現在、環境住宅の第一号を左京区内で計画している。

 ほかにも▽自然建材の使用▽ふろの残り湯を洗濯に利用するような「中水利用」や「雨水利用」▽屋上の緑化−など、無駄なエネルギー利用を抑え、日々の住宅経費を節約できるように考えた設計が提案されている。

 渡辺さんは「京都の建物は、もともと自然をうまく利用した造りになっていた」と指摘する。町家に代表されるように構造がシンプルで震災に強く、風通しが良く、火災の時に隣家への延焼防止のための高木が植えたりと、工夫が凝らされている、というのだ。

 一方で、環境住宅は建築家だけでなく、設計・建築事務所や左官、建具、畳屋さんなど「住」に携わる人たちの認識が一致しないと実現しないのも事実だ。渡辺さんは「木造だけでなく、鉄筋住宅でも、自然を利用した知恵を取り入れることはできる。時間はかかるかもしれないが、環境講座などを通じ、少しでも互いの認識を近づけたい」と話し、他府県で環境住宅を志向する団体とも手をつなごうとしている。(2001年11月9日掲載)


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