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Kyoto Shimbun 世界水フォーラムに向け
「水田かんがい」 多様な役割考える 背景には、2000年の第二回水フォーラム(オランダ)で受けた指摘がある。かんがい面積の拡大が水不足や生態系に与える影響に加え、25年までに「食料の4割増産のために総額5500億ドル」(世界水ビジョン)と多額のコストを要することが挙げられた。
大阪府立大大学院の堀野治彦助教授(水資源環境工学)は、環境などの価値を金銭に換算するCVM(仮想評価法)の手法を用いて、滋賀県北部の農業用水の経済評価を試みた。 「農業用水が地域の『共有財』として住民にどう評価されているかを多面的に比較するのが狙い」とし、その手法として価格で比較するのが最も合理的で分かりやすい、と説明する。 調査は、国が近年、新たに農業水利事業を手がけた湖北地域で、余呉町を除く六町を対象エリアに18集落、1034世帯を無作為に選び、アンケート調査した。農業用水をどんな形で利用しているかなどの設問と合わせ、用水の維持・保全のため基金を設けると仮定して、年間にいくらまでなら費用を出して良いか−を問うた。
その結果、一世帯当たり約3800円(下限推定値)という額がはじき出された。さらに、上流と下流、湖側と山側など集落別、琵琶湖の水質や環境問題への関心の有無別などで額を推計。下流や湖側の集落、環境問題に関心が高い人ほど高額となった。
今年3月20日、大津市内で開かれたシンポジウム「モンスーンアジア水田かんがいの多面的役割」では、文字通りさまざまな面から水田の役割が議論された。 韓国の権純国ソウル大教授は「コメは政治的な作物だ」と指摘した。第二次世界大戦後は食料供給が各国の主要施策だった。WTO(世界貿易機関)のもとで輸出入自由化が進み、地球上で毎年6万平方キロの農地が砂漠化する現在は食料安全保障が焦点になっている。 また、かんがいが歴史の中で果たした社会的役割も強調された。 スバックと呼ばれるバリ島(インドネシア)のかんがい組合は、徴税や害虫駆除など農業の仕事だけでなく、「豊穣の神」の祭礼にも携わる地域の文化組織だ。スリランカに約一万八千個あるため池は、用水が棚田を流れ落ちたり地下に浸透し、6、7割が下流側で再利用されている。紀元前五世紀以来のシステムで、世界遺産に指定されたため池もある。
マレーシアのアブドゥーラ農業かんがい排水局長は「水田耕作はアジアの自然の一部であり、社会の魂だ」と強調している。(2002年4月12日掲載)
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