Kyoto Shimbun


環境を考える
COP8 成果と課題

 気候変動枠組み条約第8回締約国会議(COP8)が10月23日から11月1日まで、インド・ニューデリーで開かれた。発展途上国の温暖化対策に道筋をつける「デリー宣言」を土壇場で採択したが、先進国と途上国の対立は依然深刻で、世界的な温暖化防止の困難さをあらためて印象づけた。COP8を振り返り、今後の課題を探る。(社会報道部 日比野敏陽)

温暖化対策、地球規模で
先進国と途上国 対立深刻

 【ブラジル提案】

 「過去100年間に排出した量に応じて削減義務を決めよう」。97年の京都会議でブラジルが行った荒唐無稽ともいえる提案が、5年経ってあらためて注目を集めることになった。世界の各地域でどの程度の二酸化炭素(CO2)などが排出されてきたのかについて、世界の主要な研究機関が試算をまとめたからだ。

 試算したのは地球環境産業技術研究機構(RITE、京都府木津町)など先進国の13機関。世界を先進国、旧東欧諸国、アフリカ・南米、アジア諸国の4つに分け、1890年から2000年までに排出されたCO2やメタンの量を比較し、温暖化の責任を地域別に比較した。

 各機関の試算結果はほぼ一致し、責任の度合いは先進国40%、旧東欧15%、アフリカ・南米20%、アジア25%。こうした試算は、先進国の歴史的な責任を裏付けたが、一方で「途上国にも温暖化の責任がまったくないわけではなく、途上国を含めた地球的な規模での対策の必要性を提起した」(COP8に参加した上園昌武島根大助教授・環境経済)点で注目される。ブラジル提案については、米国や中国が否定的で、実現可能性は低い。しかし、途上国も温暖化に少なからず責任があることを示すデータとして交渉に影響すると見られている。

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COP8でも、先進国と途上国の対立は依然深刻だった(インド・ニューデリーで地元NGOが主催した集会)
 【代替フロン】

 HFCやPFCなどの代替フロンガスはCO2の1万倍以上の温室効果があり、京都議定書で削減対象になった。しかし、COP8と並行開催された補助機関会合で具体的な削減策についての議論は当面、行われないことが決まった。

 代替フロンは、京都議定書が削減対象としている半面、オゾン層を守るためフロンガスを規制しているモントリオール議定書では、利用促進が強調されるという矛盾状態にある。このため、COP8では2つの議定書間の調整が図られる予定だった。だが、代替フロンの生産国である米国や日本などが「モントリオール議定書の努力を損なってはならない」として、代替フロンに関する議論を気候変動枠組み条約交渉からモントリオール議定書の交渉に移すよう主張した結果、補助機関会合の議題からは削除されてしまった。

 今後、代替フロンについてはIPCCとモントリオール議定書の技術パネルが05年までに共同報告書をまとめる。それまでは削減について議論しないことを意味し、この数年間に排出が急増することが懸念される。地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA、大阪市)の早川光俊専務理事は「代替フロンの生産施設は今、発展途上国に急速に移転している。05年まで議論を放置すれば、後戻りできないほど排出量が増える」と危機感を募らせる。

 【MOP1へ】

 デリー宣言は、京都議定書の批准推進を確認した。カナダなど主要国も批准を表明し、議定書は来年早々にも発効する。このため、来年12月のCOP9と並行し、京都議定書の第1回締約国会議(MOP1)も開かれる見通しだ。会議最終日、EU(欧州連合)や環境NGOは「地球温暖化を防止する枠組みは京都議定書しかないことを確認し、温暖化防止の取り組みを推進すべき」との認識で一致していた。(2002年12月13日掲載)


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