Kyoto Shimbun


環境を考える
世界で進むLRTの導入

 環境にやさしい移動手段として、電車やバスなど公共交通が見直されている。なかでも路面電車は、自動車交通を妨げるとして全国で廃止が相次いだが、世界各都市で次世代型路面電車(LRT=ライト・レール・トランジット)の再導入が急速に進み、あらためて脚光を浴びている。京都でもLRT導入が論議されるが、財源確保や市民の合意づくりなど課題も多い。(社会報道部 山内康敬)

京都で実現目指す動きも
財源や民意など課題多く

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都心の専用軌道を走るLRT(オランダ・アムステルダム)
 日本初の路面電車は1895(明治28)年、琵琶湖疏水による発電を利用し、京都で走り始めた。戦前のピーク時には全国65都市で、路線延長1400キロにわたって走っていた。

 しかし、マイカーが普及し、渋滞が激化した1970年代に次々と廃止される。全国路面軌道連絡協議会のまとめでは、現在は18の企業・自治体で、総延長距離も約240キロにすぎない。

 路面電車の進化型ともいえるLRTが注目を集める理由のひとつは、エネルギー効率の良さだ。輸送量当たりの二酸化炭素(CO2)排出量は、鉄道を100とした場合、LRTは150。バス(200)やマイカー(760)と比べて効率がよく、地球温暖化防止に貢献できる。

 また、日本開発銀行の試算によると、1キロ当たりの建設費が地下鉄の250億円、モノレールの100億円に比べ、10−20億円と安い。輸送可能人数も、バスの1時間3000人に対し1万5000人と大きく、都市圏での大量輸送に適している。

 さらに▽都市の空気を汚さない▽地下鉄より駅間が短く、階段の上り下りがない▽低床型なら乗降しやすく、高齢者にやさしい−も利点だ。

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 一方で、LRT導入への課題も少なくない。ひとつは不況で自治体財政が危機にあるなかでの財源確保だ。東京大の太田勝俊教授(都市交通)は「日本の路面電車は100年前の技術を使っており、LRTに進化させるには投資がいる。公共交通の独立採算制を見直し、電気やガスと同様の生活インフラとして、欧州のように一般財源投入を検討すべき」と主張する。

 富山県高岡市で昨年4月、私鉄から路線を引き継いだ第三セクター万葉線は、地元住民から1億5000万円の募金を集め、運営の基礎に充てた。継承の中心を担った市民団体RACDA高岡の島正範代表は「官民を挙げ、みんなで守る意識を持てた。路線を引き継いだあと、利用者は増えた」と市民主体の資金づくりの可能性を語る。

 自動車との「すみ分け」も課題だ。低床型車両を全国に先駆けて導入した熊本市の市原敏郎交通事業管理者は「信号のない専用軌道を走る欧州のLRTに比べ、日本の路面電車は狭い道を車に遠慮して走る。マイカーの通行量を大幅に減らし、車道内にLRT専用軌道を確保するような市民合意を形成できるかどうかがカギ」と指摘する。

 京都でも、京都商工会議所が一昨年秋にLRT導入を府、市に提言したのをはじめ、市民団体が導入の糸口を探る研究会などを続けている。

 交通システムに詳しい北村隆一京都大教授(土木システム工学)は「LRTは、環境と高齢者福祉、観光、商業を両立させる可能性がある。『京都の都市交通はこのままではいけない』と多くの市民が感じている。今こそ一歩を踏み出すとき」と提言している。(2003年2月14日掲載)


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