Kyoto Shimbun


環境を考える
よみがえれ 荒れた里山

 滋賀県大津市にある龍谷大瀬田キャンパス内の「龍谷の森」で、豊かな里山を再生する取り組みが進められている。教員や学生だけでなく、市民や子どもたちも参加し、荒れていた山林に「心地よい空間」が広がりつつある。15日には瀬田キャンパスで「里山シンポジウム」を開き、さらに多くの人に参加してもらおうと「龍谷の森」里山クラブ(仮称)の結成を呼び掛ける。(社会報道部稲庭篤)

講座や間伐体験参加で広がる輪
瀬田キャンパスの「龍谷の森」

写真
教員や学生に教えてもらいながら、道に倒れた木を切る瀬田北小の児童(大津市瀬田・龍谷の森)
 「龍谷の森」は瀬田キャンパス西南にある約50ヘクタールの山林で、高度経済成長期まではたきぎや炭を切り出す薪炭(しんたん)林として利用されていた。グラウンド用地として造成される予定だったが、開発が進む瀬田丘陵にあって貴重な里山の自然環境が残されていることから大規模造成を中止した。教員でつくる「保全の会」が中心となって一昨年から自然教育活動を始めた。

 昨年からは、大津市環境保全課との共同事業として、森を舞台に「環境講座」を開いている。落ち葉を集めた腐葉土づくりや間伐材を使ったシイタケ栽培に多くの市民が参加した。

▽授業に活用も

 子どもたちも訪れるようになった。2月14日には瀬田北小の6年生約120人が、理科の授業「環境を守る」のまとめとして龍谷の森にやってきた。土屋和三・文学部助教授(植物生態学)は「間伐することで森は勢いを取り戻し、木が大きく育つ。陽の当たるようになったツツジは花芽がふくらんでいて、4月には花が咲くだろう」と、人が手を入れることで里山がよみがえることを説明した。子どもたちは散策道の整備やネジキやソヨゴなどの低木の間伐に取り組んだ。

 初めてのこぎりを持ったという子どもたちが多く、道をふさいでいる倒木を切るのに四苦八苦。それでも「木を切るのって楽しい」と、ボランティアの学生と一緒に汗を流しながら頑張った。弁当のあとは、京都造形芸術大の森田実穂助教授の指導で、間伐材を使ってコマやけん玉を作って遊んだ。

 子どもたちの感想をまとめた「龍谷の森新聞」には、「木を切るのは自然破壊だと思っていたけど、切ったところから木がのびていくのにびっくりしました」など驚きの声も寄せられた。担当の長崎雄二教諭は「木を切ることが自然を守ることになるという、一見矛盾することを理解するためには、実際に体験することが1番いい。子どもたちにとって、インターネットでは得ることのできない貴重な体験になったと思う」と話す。

▽クラブ設立へ

 これまでの活動をまとめて今後の里山づくりをみんなで考えようと、15日午後1時から瀬田キャンパス・REC小ホールで「里山シンポジウム」(参加無料)を開く。「里山の過去から未来」と題して、かつての瀬田丘陵を知る地元住民や森林の専門家、キノコやチョウの研究者が報告に立つ。さらに多くの人に里山づくりに参加してもらおうと、会場で里山クラブ(仮称)への参加を呼び掛ける。

 土屋助教授は「散策路が整備されれば、楽しみがまた増える。多くの人に協力してもらうことで、里山はよみがえる」と話している。(2003年3月14日掲載)


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