Kyoto Shimbun


環境を考える
古材再利用でCO2排出減

 環境にやさしい建築方法として、取り壊された民家などに使われている古材の再利用が静かな注目を集めている。昔ながらの旧家には、現代の住宅ではぜいたくとも思える立派な部材が使われていることが多い。貴重な森林資源や、建て替え工事で使う燃料を節約できるほか、現代建築で多用される化学物質の使用を控える効果もある。(社会報道部 山内康敬)

独特の風合い人気
森林保護にも一役

 NPO法人(特定非営利活動法人)「古材バンクの会」が7月下旬、京都市山科区で開いた「古材市」。風格ある古い民家の部材や建具を、中高年の夫婦や若い女性グループが興味深そうに品定めして歩く。

 1994年に設立された同会の活動は、古材が注目される先駆けともなった。スタッフの田中貴子さん(51)は「取り壊された古い民家には、現代では考えられないほど立派な木が使われている。まだまだ使える部材の再利用を促し、環境と資源、文化の保全に寄与できれば」と話す。

 ▽コスト面でも

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古材バンクの会が開いた古材市。風格のある木材や建具が所狭しと並ぶ(7月26日、京都市山科区)
 木造住宅は室内の気密性が低く、空調効率が悪い半面、木造であること自体で温暖化防止など地球環境にやさしい側面がある。日本建築学会の試算によると、木造住宅を建設する際に排出される二酸化炭素(CO2)は、床1平方メートル当たりで鉄筋コンクリートを建設する場合の約半分(80キログラム)。また、森林が吸収したCO2を材木の形でストックしているという意味で「木造家屋の多い都市は第2の森林」(同会)ともいわれる。

 同会は3年前、京都大の研究者や建築士に委託し、古材を再利用して町家を再生したり改築した場合の環境への貢献度とコストを試算した。報告書によると、部材を1%再利用すれば、改築工事などで排出されるCO2を約1.1%削減できることが分かった。また、硫黄酸化物や窒素酸化物などの排出も減らせた。

 一方、改築にかかる費用は、古材の再利用率が20%以下の場合は人件費が建材費を上回ってコスト増となるが、再利用率が20%以上になると大きく割安となるという。

 調査した伏見区の建築士、長楽活周さんは「廃材焼却によるCOCO2排出を大幅に減らせるほか、工事車両の排ガスなども減る効果があった。古材を上手に利用すれば、安くて環境にやさしい住宅が建てられる」と話す。

 ▽業者数が増加

 古材の利用は、商業ベースでも進んでいる。近畿での古材リサイクル業の草分け的存在、島村葭商店(滋賀県新旭町)の島村信義社長は「新材にはない古材独特の風合いが心を癒やしてくれる。傷んだ中古品という古材への誤った認識がなくなり、人気が出てきている」という。

 こうした民間業者をつないでいる日本民家再生リサイクル協会(東京)の金井透事務局長も「登録業者は全国で120。年々増えており、業界で古材が注目を集めているのが分かる」という。

 ▽最後の手段に

 同会は、民家を手放したい人と住みたい人を結ぶ「民家バンク」を運営している。これまで5件の利用があった。「古い民家をその場で補強・再生させたり、移築するのが環境には一番良い。バラバラの部材(古材)にして使うのは、最後の手段なんです」

 古材バンクの会も、民家再生や移築の相談に乗る活動を展開している。利用相談を担当する建築士でスタッフの山本晶三さん(49)は「九州の民家の古材をわざわざ関東に運んでリサイクルするのではなく、近場で使い回してこそ環境にやさしい。木は、半永久的に使える素晴らしい素材。古材に関する情報を増やすとともに、業者や行政にもっと関心を持ってほしい」と訴える。(2003年8月8日掲載)


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