Kyoto Shimbun


環境を考える
家庭の生ごみ、どう処理する

 毎日のように家庭から出る生ごみ。それぞれの家庭がごみ減量や、たい肥化などに取り組むのは大切だが、やはり限界がある。排出する膨大な量の生ごみをどうするのか、行政による抜本的な対策が急務といえる。滋賀県水口町はユニークな分別処理システムを始め、名古屋市は今秋から本格的な分別処理に乗り出す。京都市で始まった市民レベルの実験と先進自治体の取り組みから、生ごみ処理の課題を追った。(社会報道部円城得之)

分別回収でたい肥化へ
コストと市民協力課題

 京都市左京区の葵学区の住宅地。近くの住民たちが毎週月、木曜日の朝、家庭の生ごみを道ばたに置かれたポリバケツに入れにやってくる。15戸の家庭が8月初めから9月にかけ、京都府立大や「京のアジェンダ21フォーラム」の生ごみ回収実験に協力している。

 「慣れれば、分別も何てことはない」と近くの主婦中山史江さん(68)は話す。ポリバケツは府立大が回収し、生ごみを乾燥したあと、3カ月ほどかけてたい肥化し、府立大の農場で使う。

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葵学区の実験で、家庭の生ごみを分別してポリバケツに入れる主婦たち(京都市左京区下鴨東半木町)
 ▽実験は順調

 京のアジェンダ21フォーラムのメンバーは「協力はうまくいっている。実験結果を基に市に政策提言したい」と話す。

 生ごみは、家庭ごみの4割を占める。京都市など多くの自治体は、焼却処理している。家庭でごみをたい肥化するコンポスト製造器の購入に補助金を出す自治体もあるが、都市部ではたい肥を使用する農地が少ないなどの悩みがある。また、分別収集への市民協力や、生ごみ収集にかかるコストが課題になっている。

 水口町は、昨年10月から全国でも珍しい生ごみの分別、回収システムをスタートさせた。希望する家庭にたい肥を配り、それぞれの家庭ではポリバケツの中にたい肥と生ごみをはさんで、サンドイッチ状態にして保存する。それを毎週2回、町が回収、たい肥化処理して、再び町がたい肥を配る仕組みだ。

 ▽25%が参加

 前田三嗣環境課主査は「ごみ焼却工場の処理能力の限界と地球温暖化防止のため導入した。生ごみとたい肥を混ぜることで発酵を早め、悪臭防止になる」と説明する。

 対象は町内全戸だが、希望する家庭から始めた。参加家庭は増えており、全約1万2000世帯のうち約3000世帯になった。生ごみ処理で出来たたい肥は、増える参加家庭に全部配布して残らない。余剰分が出てくれば、野菜栽培など使い道を考えるという。

 悩みは、収集と処理にかかる年間4000万円の経費だが、前田主査は「処理工場の高い新設費を考えれば、こちらの方がコストはかからないとも言える。どちらを選ぶかは政策判断」と話す。

 名古屋市が始める生ごみ分別収集、たい肥化処理は、4000戸の家庭が対象。大都市での試みだが、いずれ全戸に拡大する計画だ。名古屋市資源化推進室は「農地が少なくたい肥を使い切れないので、生ごみ発電なども考える」という。

 ▽発電も検討

 京都市循環型社会推進課は「生ごみ対策は当然必要」というが、今のところ具体策はない。名古屋市のような分別回収には「人員や車両が必要でコストがかかる。処分場不足など地域特性も違う」と否定的だ。

 葵学区の回収実験は、10月には30−40世帯に拡大される予定だ。府立大で実験に携わる南出隆久教授は「大がかりな回収と処理よりも、学区ほどの小単位で、住民が目に見える範囲で循環システムを作ることが必要」としている。(2003年9月12日掲載)


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