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Kyoto Shimbun 見直し進む「ほ場整備」
豊かな水田の生態系保護へ 技術やコストなど課題山積
調査を担当する京都大アジア・アフリカ地域研究研究科の岩田明久助教授は「多くの魚は、川と水路、水田を行き来しながら暮らしている。しかし、ほ場整備で水路などに段差ができると、繁殖や成長に必要な往来ができなくなる。亀岡の田んぼは昔ながらの姿と農法が残り、魚にやさしい」と話す。
一帯では植物の調査も進められている。大本花明山植物園の津軽俊介園長は「水田やあぜ、農道は、常に人の手が入る。日当たりや栄養もよく、植物の宝庫だ。絶滅寸前種なども含め、全部で千種類くらいあるのではないか」と、一帯の植物の多様性に驚く。 近畿農政局は、亀岡市東部で計635ヘクタールに及ぶ大規模なほ場整備事業を計画し、すでに2000年度から工事に着手している。魚類や植物の調査は、工事予定地の基礎的なデータを集めるために、農政局の委託で今年3月から取り組んでいる。
調査を後押しするのは、新しい土地改良法だ。一昨年4月の改正で、ほ場整備などを進める際、「環境との調和への配慮」が必要と明記された。同農政局亀岡農地整備事業建設所の梅田全克所長は「これまでのほ場整備は効率一辺倒だった。しかし国民の環境意識が高まり、土地を所有する農家の意向だけで自然や景観を破壊することはできなくなった」と変化を語る。
姿を消す生物も 課題もある。一つは環境に配慮した工法が実際に機能しているのか、という点だ。整備地区を流れる川の一部では護岸を石積みにする工法変更が行われた。しかし「石のすき間に泥が詰まり、魚の住みかとして機能していない。川底を掘り下げたので流速も変わり、スジシマドジョウなど貴重な魚も姿を消した」と岩田助教授はいう。 もう一つの問題は、自然への配慮が農家にとって新たな負担になりかねない点だ。水路を作る場合でも、両岸を土でなだらかに整備すれば、U字溝よりコストも土地も必要になる。草刈りなど維持管理の手間も生じる。 梅田所長は「環境への配慮はまだ技術的な蓄積がなく、手探りの状態。必要に応じて工法を改良していきいたい。農家の負担については、話し合いを進めながら最善の方法を探りたい」と語る。 現在、全国で進められている国営ほ場整備は3カ所だけだ。特に豊かな自然が残る亀岡のケースは、新たなほ場整備のあり方を占う試金石となっている。(2004年6月8日掲載) ◇INDEX◇ |