Kyoto Shimbun


環境を考える
バイオガスを燃料に

 フィリピンのスラム地域に公衆トイレを設置し、排せつ物から出るメタンガスを燃料として役立てる「バイオガスプロジェクト」を、京都のNGO(非政府組織)が進めている。トイレを普及させ生活水の汚染を止めるのが狙い。トイレ利用の習慣化をはかるため、ガスを生活に利用するなどの利便性向上と組み合わせているのが特徴だ。現地のNGOと協力し、8月にも本格着工する見通しになっている。(社会報道部 日比野敏陽)

トイレ普及で水汚染防止
京のNGO、フィリピンで

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バイオガスプロジェクトが実施されるサマール島のスラム地域。満潮時には水びたしになる(フィリピン)
 「このあたりは低湿地帯で、家の床下にも潮が満ちてくる。どの家も排せつ物は垂れ流しにしている。子どもたちは水遊びを楽しんでいるが、衛生状態は想像以上に悪い」。フィリピンのサマール島最大の都市カルバヨグ市のスラムについて、NGO「京都サマール友好協会」代表の北上田毅さん(58)は、写真を手に説明してくれた。

 最も貧しい島で

 「フィリピンで最も貧しい島」といわれるサマール島。農業と漁業以外に産業はなく、土地を持たない農民らが都市部に流出。海沿いにスラムを形成している。  サマール島はレイテ島の東北部に隣接し、第2次世界大戦末期は日米軍の激しい戦闘が繰り広げられた。朽ちた砲台など、いまも戦争の跡が残る。同協会は、京都に在住するサマール島出身フィリピン人との交流を進めてきた北上田さんらが、10年前に結成した。会員は約50人。

 北上田さんは元京都市環境局職員。2003年に京都市で開かれた世界水フォーラムで、バイオガスなどの資源循環型トイレに関するプロジェクトを手がけた。昨年末、こうした経験をサマール島で生かそうと定年を前に退職した。

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 バイオガスプラントは▽公衆トイレ▽ブタの飼育場▽バイオガス発生タンク(地下)とガス使用装置−などからなる。ブタを飼育するのは、一定量の排せつ物を確保するためだけでなく、肥育、販売してプラントの維持管理費にあてるのが狙い。

 北上田さんは「ガスに加えて良質な液肥が取れる。燃料を自給できれば、マングローブの違法伐採も止められるのではないか。トイレ普及に合わせて、子どもたちに手洗いの習慣も広めたい」と構想を説明する。

 生活面の改善も

 プラントを建設するのは日本側だが、その後の運営を成功させるには現地の人の主体的なかかわりが不可欠。現地のNGOや地域の女性グループに、トイレやブタの飼育施設の管理を任せていく計画だ。プロジェクトの計画がある2カ所のうち、1カ所ではNGOとの仮契約をすでに完了している。

 国連児童基金(ユニセフ)の2003年の調査では、汚染された水のため、フィリピンでは1時間に12人の子ども(5歳以下)が死亡している。北上田さんは「トイレを普及させるだけで、この状況は大きく改善するはず」と話している。(2004年7月20日掲載)


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