Kyoto Shimbun


環境を考える
見直そう、森林エネルギー

 薪(まき)や炭、おがくずを固めたペレットなど、森林が生み出すエネルギー資源を見直す動きが全国で広がりつつある。「森林バイオマス(生物燃料)」とも呼ばれ、普及を目指すグループが京都、滋賀で相次いで誕生している。適度に森を利用することで里山を保全し、地球温暖化も防ごうというのが共通の狙いだ。暖かい火が恋しくなるこの時期、森林バイオマスの現状を探った。(社会報道部 目黒重幸)

里山保全、温暖化防止…利点いっぱい
森手入れ、間伐材炭に 京滋で活動の輪広がる

 たき火に手をかざした子どもが飽かずに炎の動きを見つめている。隣では家族連れが炭火でバーベキューを楽しむ。会場にはペレットを使ったストーブも展示された。

 先月27日、京都市北区雲ケ畑で開かれた森林バイオマスの普及を目指すイベント。主催団体の市民グループ「薪(しん)く炭(たん)くKYOTO」(松田直子代表)は「料理やストーブを通して、森林バイオマスの重要性、楽しさを広く知ってほしい」と話す。

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おがくずなどを固めたペレットを燃料とするストーブ。揺れる炎が心も暖める(11月27日、京都市北区雲ケ畑)
 同グループは間伐や植林に取り組んでいた森林ボランティア団体から派生するかたちで、2002年に誕生した。松田代表は「森を手入れする作業だけでなく、そこで生産される丸太や間伐材を使うシステムを考えないと、森林の循環は成り立たないと思った」と発足の動機を語る。

 戦後の燃料革命や外国産材の輸入増加で、里山は荒廃が進んでいる。生態系の破壊や保水機能の低下を招き、時には土砂災害も引き起こす。そんな森林を再生させる手段の一つが、森林バイオマスの活用という訳だ。

 薪く炭くKYOTOは森林バイオマス活用の方法や可能性を研究するとともに▽薪や炭を使う飲食店、銭湯の発掘▽火祭りの調査▽カルタやすごろくを使った教育活動−など文化や生活面からも、京都で森林資源の活用を探っている。松田代表は「マンションは排気の問題から薪ストーブも使えない。現代の暮らしに、どう森林バイオマスを普及させるかが課題です」と話す。

 京都では、環境問題に取り組む市民組織「京のアジェンダ21フォーラム」なども大原野森林公園(西京区)の間伐材を使った暖房システムの調査研究を進めている。滋賀では今年6月にNPO法人(特定非営利活動法人)となった「おうみ木質バイオマス利用研究会」(彦根市)が、炭焼きや間伐材を使った発電などを通して、森林の保全に取り組んでいる。

 双方の活動に携わっている滋賀県立大の野間直彦講師は「木を切ると、5つの良いことがある」という。

 (1)石油などの化石燃料の使用が減り、森林が育つ際に二酸化炭素を吸収するため、地球温暖化防止につながる

 (2)森に光が入るので動植物の生息・成育にいい

 (3)地域経済に貢献する

 (4)シカやイノシシの隠れ家が人里近くになくなり、獣害が減る

 (5)環境教育の効果がある

 大きな課題は化石燃料に比べてコストがかかる点だが、野間講師は発想の転換を訴える。「確かにエネルギーとしてだけ見ればコストは高いが、他の効果を考えればむしろ安いとも言える。森林を守り、地球温暖化を防ぐためには、薪炭材を現代的な方法で使うしか道はない」

 利用が進むスウェーデンでは、全エネルギーの約2割を森林バイオマスでまかなっているという。里山保全と温暖化対策はいずれも切羽詰まった課題だ。日本では緒についたばかりだが、普及への期待は大きい。 (2004年12月7日掲載)


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