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Kyoto Shimbun
災害復旧工事自然配慮型へ
緊急、安全性 確保で制約も 昨年の台風21号と23号で、京都府北部では野田川の堤防が決壊したほか、中小河川の護岸が崩れるなど、被害が相次いだ。府治水統括室によると、被災は約1200カ所に上り「近年では経験したことのない多さ」となった。被災地では現在、急ピッチで修復工事が進んでいる。 災害復旧はこれまで、被害個所を以前と同じ姿に戻す「原形復旧」が基本とされてきた。しかし環境意識の高まりを受け、建設省(現国土交通省)は1989年に「美しい山河を守る災害復旧基本方針」を策定、自然環境の保全に配慮した復旧事業に向けて、かじを切った。
山崩れや地滑りを復旧する治山事業でも同様の取り組みが進む。府森林保全課によると、台風23号では府内で677カ所の被害があり、復旧工事が必要なのは239カ所に上るという。 「以前は崩れたのり面を固めるのも、治山ダムを造るのも、すべてコンクリートや鋼材を使っていた」と沢井俊秀担当係長。2000年ごろからは治山ダムの本体や周辺工事に間伐材を利用したり、のり面の崩落防止に丸太を枠型にはり付けたりする工法を採用している。 災害復旧特有の問題もある。通常の事業より緊急性が求められることだ。 国交省の災害復旧基本方針は▽地域固有の文化や自然を考慮する▽画一的な復旧を避ける▽住民意見を反映させる−などを掲げている。しかし一刻も早く復旧する必要があることから、動植物を調査したり、地域住民の意見を聞いたりすることは復旧工事でほとんど行われていないという。また再度の被災を防ぐため、構造や強度で高い安全性が求められる。「治山事業でも、人家に近いところはやはりコンクリートを使わざるを得ない」と沢井担当係長は言う。 国交省の方針作成に携わり、災害復旧と環境の問題に詳しい島谷幸宏九州大教授(河川工学)は「時間的制約から、河川は環境配慮型ブロックを使えばそれでいいという『紋切り型』の復旧になりがちだ」と行政担当者のジレンマを代弁する。 そのうえで「災害復旧には大きな予算が集中的に投じられるため、環境再生のチャンスでもあり、環境破壊のピンチにもなる」と指摘。「人命や財産という重い言葉の前に環境は軽視されがちだが、安全を最重視する現場近くの住民だけでなく、市民やNPOなど広い意見を反映させるような仕組みづくりが必要だろう」と提言している。(2005年6月21日掲載)
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