Kyoto Shimbun


環境を考える
招かざる贈り物 散乱

 浜辺に流れ着いた椰子(やし)の実に異郷のわが身を重ね、歌う「椰子の実」。叙情をかき立てられる歌詞だが、たとえ椰子の実でも浜に流れ着くと処理しなくてはいけなくなる。海に囲まれた日本で近年、漂着ごみの問題が深刻化している。日中韓露4カ国が協力して対策を進めようと、14日から富山市で現状を報告し合う初の国際会議も始まった。鳴き砂で知られる京丹後市網野町の琴引浜で、漂着ごみの現状を取材した。(社会報道部 勝 聡子)

琴引浜の漂着ごみ
鳴り砂保護に住民奮起


 現地では93年夏から東山高(京都市左京区)の地学部が調査を続けている。顧問の安松貞夫教諭によると、漂着物のルートは3つ考えられる。(1)対馬海流と北西の季節風で韓国、中国、東南アジア沿岸から(2)海上での投棄(3)国内の河川からの流出−。観光客が持ち込むごみはわずかだとみられる。

  プラスチック増加

 浜東部での観測で、94年に595個だった使い捨てライターが2004年は1058個と2倍近くになった。プラスチック製ごみの増加の一端がうかがえる。安松教諭は「プラスチック製品は分解されず、海を漂うか、浜に蓄積し続ける。劣化して砕ければ回収もできない。重油災害が急病なら、プラスチック製ごみは深刻な慢性病だ」と琴引浜の未来を心配する。

  ナホトカ生かせず

 打ち上げられたごみの処理は地元自治体にとって大きな負担となる。費用を請求しようにも、相手がわからない。浜にはテレビや冷蔵庫も流れ着く。海水に漬かるとリサイクルは難しい。化学物質が入っていそうなドラム缶の処理は専門業者に任せなくてはならない。国の補助制度を利用できるのは事実上、災害時だけだ。京丹後市環境推進課の野村正彦課長補佐は「漂着ごみは海岸を抱えた自治体だけの問題になっている。ナホトカの教訓を生かせていない」という。

  対策へ4ヵ国協力

 漂着ごみは海へ流れ出た経緯が分からないうえ、国境も越えてくる。即効薬的な対策は難しく、回収は対処療法でしかない。人の手が入っている琴引浜はまだしも、京丹後市でも人が降りられない浜や岩場は手つかずのままだ。海洋も含めた汚染を懸念し、環境NGO(非政府組織)や研究者が警鐘を鳴らすが、環境問題としての認識は広がっていない。

写真
アンプル瓶や漁具、生活用品…。さまざまなごみが打ち寄せられる琴引浜。白砂青松の景色は地元の住民の手で守られている(京丹後市網野町・琴引浜)

 漂着ごみに対して、国は2000年に環境省や国交省、海上保安庁など関係6省庁で連絡協議会を設けた。日中韓露4カ国も昨年秋、協力し合うことを確認。第一歩として4カ国の研究者が集ったのが富山市で14日開幕した国際会議だ。

 漂着ごみを研究し、会議にも出席している防衛大の山口晴幸教授は日本列島の海岸を歩き、ペットボトルや発泡スチロールで埋もれた浜を目の当たりにした。「現状は地域やボランティアの力の及ぶ域を超えている。海岸は日本の生命線。国が現状を把握し、対策を立てるべきだ」と訴える。

  注射器など、医療廃棄物も

 琴引浜で8月中旬、大量の医療廃棄物が見つかった。松尾茂行さんらが第8管区海上保安本部(舞鶴市)に連絡。本部が自治体やほかの海上保安本部にも注意を呼びかけ、調査、回収に乗り出した。

 10月12日までに鹿児島県から秋田県まで15府県で、注射器やアンプル瓶2万3146個を確認した。

 鳥取県が最も多く1万196個、島根県で5205個、京都府は798個あった。人的被害の報告はないという。

 八管本部の成田剛一警備課長は「けがや感染症のおそれがあり、特段に早い対応をとった。発生源は確定できないが、引き続き注意したい」と話している。(2005年11月15日掲載)


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