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Kyoto Shimbun
植物で有害物質浄化
土壌・地下水汚染に新手段 安価、負荷も小さく
京都大生存圏研究所(宇治市)の矢崎一史教授(47)=植物分子生物学=は土壌のカドミウムを根から吸い取るタバコの研究を進めている。 重金属のカドミウムは大量摂取すると腎障害を引き起こし、また公害病・イタイイタイ病の原因としても知られる。多くの工業製品に使われているが、土壌に入ると分解されず、農作物にも蓄積する。 日本人の主食である米の場合、食品衛生法で1ppm以上の玄米は販売や加工が禁止(0.4ppm以上は農水省により非食用に処理)されているが、時折各地で汚染米が検出され、問題化している。そこで植物を使って吸い出すという発想が生まれた。 タバコは生育が早く、ゴマ粒大の種が1年で2メートル以上に育つ。それだけ土中からの吸収量も多い。しかしカドミウム濃度が高い土では水を吸えず、枯れてしまう問題がある。 対策として、矢崎教授はhMRP1と呼ばれる遺伝子を組み込み、カドミウム耐性タバコを開発した。アデノシン三リン酸の加水分解エネルギーを利用し、吸収したカドミウムを細胞の液胞に封じ込める仕組みだ。高濃度汚染下でも細胞全体は影響を受けず、成長を続けることができる。 水耕培地の実験データで、11ppm強の高濃度溶液に入れると、10日後には濃度が5分の1以下に薄まった。矢崎教授は「次世代の地球環境のため、この技術は大きな可能性がある」と期待する。
ファイトレメディエーションは欧米で研究が先行し、一部実用化も始まっている。シダによるヒ素汚染の浄化やユーカリによる石油汚染対策などがあり、ビジネスとしても脚光を浴びている。 背景には従来の土壌汚染対策の抱える問題がある。掘削除去したり、きれいな土をかぶせたりする土木工法のほか、加熱処理や薬剤による不溶化といった手段がとられているが、いずれも根本的な解決にならないうえ、CO2放出などの環境負荷もある。 ファイトレメディエーション研究を続ける日本大の長谷川功教授(59)=植物栄養生理学=は「本当は汚さないことが重要だが、人間がこのままの生活を続ける限り重金属は排出され、土壌にたまっていく。いつまでもごまかしの対策のままでいいのか」と指摘する。 この技術にも課題がある。第一に浄化に時間がかかる。カドミウム吸収タバコの場合、工場跡など高度汚染地での利用を想定すると浄化に10年以上かかるという。次に重金属などを吸収させた植物の処理をどうするか。乾燥後に灰化して重金属などを回収し、再利用につなげる案が有力だが、経費の面で疑問視する声もある。遺伝子組み換え作物を実際に土壌利用する際は、社会的同意を得ることも重要になるだろう。 矢崎教授は言う。「地球は人間が100年以上かけて汚してきた。その浄化に即効性を求めるのは無理がある。自然の自浄能力を超えた汚染をどうするのか考えるべきだ」(2006年7月18日掲載)
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