Kyoto Shimbun


環境を考える
遺伝子組み換え作物、安全性に課題

 遺伝子組み換え(GM)作物の栽培自粛や規制強化が広がっている。野生種や在来の農産物と交雑する可能性があるためだ。国より厳しい栽培ルールを打ち出す自治体やGM作物の栽培拒否を宣言する農家も現れた。背景にはGM技術の安全性や環境に対する影響への消費者、生産者の強い不安感がある。(社会報道部 日比野敏陽)

広がる栽培規制強化
輸入実態不明 強まる不安感

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「無農薬栽培の信頼を守るためにも、遺伝子組み換え作物は作らない」と話す石津さん

 黄金色の稲穂が風に揺れる水田で、手描きの看板がひときわ目立つ。高島市新旭町針江地区の石津文雄さん(58)ら農家6人が昨年立てた「遺伝子組み換え作物拒否宣言」だ。

 石津さんらは13年前から大阪府内の生協と提携し、農薬や化学肥料を極力使用しないコメ栽培に取り組んでいる。雑草取りなど手間はかかるが、生協組合員には好評で、無農薬米は標準的な滋賀県産米の2倍近い価格で取引されるまでになった。

 「安全性が証明されていないGM作物は消費者に受け入れられない。GM作物の栽培は楽だが、消費者からそっぽをむかれる」と石津さん。減農薬、無農薬の実績と消費者からの信頼を維持する狙いが宣言にはある。

 京都府は今年8月、独自のGM作物栽培指針をまとめた。栽培時に一般の作物との間隔を国指針の2倍取るなどの内容。京野菜のみず菜や壬生菜と同じアブラナ科のGM西洋ナタネを栽培する場合は畑の間隔を120メートル置く必要がある。

 府農林水産部の川崎淳司主幹は「京野菜とGM作物が交雑すれば京野菜ブランドが地に落ちる」と話す。新潟県や北海道はGM作物の栽培を罰則付きの許可制にし、コメや野菜で確立したブランドを守る姿勢を明確にしている。

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石津さんら6人の農家が立てた「遺伝子組み換え作物拒否宣言」の看板

 国内では栽培自粛や規制が強まるGM作物だが、実は安全性も危険性も証明されたわけではなく、米国やカナダ、アルゼンチンなどを中心に栽培が拡大している。厚生労働省の調査では栽培面積は過去10年で48倍に増加。生産国も米国一国から17カ国になった。

 ではGM作物はどのくらい日本に輸入されているのか。厚生労働省食品安全部は「飼料用など食品以外の輸入は届け出の対象外のため、GM作物の輸入量を把握することはできない」という。

 遺伝子組み換え技術を研究している村田幸作・京都大農学研究科教授(食品生産工学)は「新技術が社会に受け入れられるには、学会や業界が人々の理解を得るよう努力しなければならない。日本の場合、GM作物が入って来た当初、関係する学会がそれを怠った」と指摘。「すでにGM作物が大量に輸入され、それなしでは生活できない状態になっている。GM作物に反対する人々の気持ちも分かる」と話す。

 農薬メーカーや種子会社は最近になってGM作物の安全性PRに力を入れている。しかし栽培規制の一方で、輸入の全体像は不明だ。こうした実態が消費者や生産者の不安感を強める結果になっているのではないだろうか。(2006年9月19日掲載)


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