Kyoto Shimbun


環境を考える
ケニアのグリーンベルト運動

 サハラ砂漠以南のアフリカは地球温暖化の厳しい影響に最も早く直面しているといわれる。年々深刻になる干ばつや洪水、貧困。そうしたなか、ケニアのワンガリ・マータイさんは植林や農業の「脱プランテーション」を通じてアフリカの農村を再生する「グリーンベルト運動」で成果を上げ、一昨年のノーベル平和賞を受賞した。グリーンベルト運動に取り組むケニアの農村を訪ねた。(社会報道部 日比野敏陽)

大地を育て 大地に生きる
自らの手で豊かに

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木の苗の世話をする女性たち

 喧騒の首都ナイロビから北へ車で2時間半。幹線道路から外れた丘陵地にメリシ村があった。畑の間に点在する家は赤土の日干しれんがを利用。バスは少なく、人々は徒歩や馬車で移動する。

 マーガレット・ワボイさん(44)は村のグリーンベルト運動のリーダーだ。「コーヒーにジャガイモ、キャベツも育てています」。作物の名を次々と口にする。どれも土壌が赤土とは思えないほどの順調な育ちぶりだ。15メートルほどの木々にはアボカドやパパイヤ、バナナが実っている。

 この村でグリーンベルト運動が始まったのは1988年。「それまでは土地が荒れて作物が育たなかった」。英国植民地時代からの森林伐採やプランテーション化が土地を痛めていた。

 ワボイさんはグリーンベルト運動からの資金支援を受け、村の女性11人でグループを結成。木の苗を育てて植え、木々の間で農作物を育て始めた。木は在来種が中心。作物もコーヒーなどの換金作物と自家消費する野菜を併せて栽培するのが特徴だ。

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キャベツも順調に育っている

 「森を再生すれば農業も復活する。その際、市場価格に翻弄(ほんろう)されないよう、多くの種類を育てるのが農村の自立につながる」。マータイさんの長女で運動を支えているワンジェラ・マータイさんは説明する。

 植えた木は順調に育ち、近い将来、伐採して出荷することになっている。ワボイさんらは伐採に備え、新たな苗木の世話に余念がない。森を育て、森から収入を得る計画だ。

 「以前は野菜を育てても、本当に少ししか取れなかった。森を作ることで、野菜も育ちやすくなってきた。自分たちの手で少しずつ豊かになっていきたい」。誇らしげにそう話した。

<グリーンベルト運動>
 ケニアの大学で教えていたワンガリ・マータイさんが環境保護と住民の生活向上を目的に1977年から始めた。森林破壊と砂漠化を防止するため、最初は7本の木を植えることから始まり、これまでに3000万本が植えられた。貧困に苦しんでいる女性を植林に動員し、同時に農業の技術や家族計画の知識も提供した。タンザニアやウガンダなど約20か国に広がっている。(2006年11月21日掲載)


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