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Kyoto Shimbun
「負の遺産」清算へ
PCB無害化処理 関西で施設稼働
「PCB処理施設には市民の不安が根強くある。世界で最も厳しい環境基準で処理して安全を証明したい」。大阪湾に浮かぶ人工島の舞洲に2006年10月、開業した日本環境安全事業(JESCO)大阪処理施設で一家敏文・調査役はこう強調した。 日本環境安全事業はPCB処理だけを目的に国が100%出資して設立された。全国に5か所の処理施設を設置。大阪には近畿各地からPCBを使用したトランスとコンデンサーなどが2016年までに計6万台持ち込まれる予定だ。 施設ではトランスなどを真空状態で加熱し、PCBを蒸発させて回収、化学反応を利用して分解するという最新技術を採用した。外部への漏出を防ぐため、施設の床は厚さ1メートル。作業は遠隔操作とロボットで行う。 一家調査役は「情報公開も徹底し、市民の不安解消に努めたい」と話す。 PCBは1972年に生産と使用が禁止され、企業や事業所に保管が義務付けられた。しかし適切な処理方法の確立が遅れたうえ、処理施設が「迷惑施設」として全国の自治体に敬遠され立地が遅れた。この間、管理の実態はトランスなどを所有する企業任せになってきた。 このため保管PCBが漏れ出る事故や不法投棄事件もたびたび発生。2006年も和歌山県のJR変電所の機器からPCBを含む絶縁油が近辺の農地に流出する事故が発生している。 PCB処理が急速に動き始めた背景には、国際的な環境の変化がある。1990年代後半、北極や南極の生物からもPCBなどの有機汚染物質が検出され、汚染が地球規模に拡大している実態が次第に明らかになってきた。
ホッキョクグマの生態に詳しい世界自然保護基金スタッフのジュリア・ランガさん(カナダ)は「極地には本来、PCBは存在しない。先進国で漏れ出たPCBが蒸発と凝結を繰り返しながら極地に向かう」と解説する。 2001年にはPCBやダイオキシンなど12種類の有機汚染物質の管理を厳しく規制するストックホルム条約が採択された。日本も条約を批准する以上、管理PCBがわずかでも漏れ出したり、不明になることは許されない。国は同年、PCB特別措置法を制定。日本環境安全事業の設立にもこぎつけた。 公害問題に長年取り組んできた早川光俊弁護士(大阪市)は「さまざまな理由をつけて対策を先送りする日本の行政の典型例だろう。今後は積極的に先進国の義務を果たしていくべきだ」と話す。 【PCB】 トランスやコンデンサー、安定器などの絶縁油や熱媒体として、ビルや工場、鉄道車両などに幅広く利用された。熱に強く化学的に安定しているが、脂質に溶けやすい性質があり、体内摂取すれば内臓疾患に直結する。カネミ油症事件は、コメぬか油の脱臭工程の装置に使われたPCBが混入。全国で1万4000人が皮膚炎や内臓疾患を訴えた。2004年時点で国の認定患者は1800人を超える。 (2007年1月23日掲載)
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