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Kyoto Shimbun
注目集まる排出量取引
脱化石燃料へ社会転換
ノルウェーのオスロに住むブエノ・ビョルンさん(46)の肩書は「炭素ジャーナリスト」だ。排出量取引の情報を投資家や企業に提供するポイントカーボン社(オスロ)に所属。温暖化防止に関する国際会議の常連でもある。 京都議定書で排出量取引が温暖化対策の一環として認められて以来「世界のどこで二酸化炭素(CO2)の削減が進み、どこであふれそうかという情報は価値のある商品になった」と話す。 EUの排出量取引は2005年から域内の25カ国が参加して始まっている。現状は「各国に当初、割り当てられた排出上限が大きかったため、排出枠が余り気味で、排出量価格の低迷につながった」(ビョルンさん)といい、欧州委員会は08年から各国に対する排出上限の割り当てを厳格化する方針だ。 京都議定書を批准していない米国でも経済界を中心に排出量取引への関心が高まっている。「排出量取引という新たな環境ビジネスに乗り遅れる」という危機感も強い。今年1月に来日したアル・ゴア元副大統領も「排出量取引は温暖化対策の柱になる」と強調。現在、上院には排出量取引の導入を目指す5つの法案が提出されている。
日本では05年から企業が自主参加する排出量取引制度が試行されているが、本格的な導入の見通しは立っていない。各企業に排出上限を設定することには「企業活動を制限することにつながる」として、経団連が一貫して反対しているためだ。 こうしたなか、日本最大の環境NGO・世界自然保護基金(WWF)ジャパンが今年、独自の国内排出量取引制度の提案を発表した。化石燃料を大量に使用する大規模な工場や発電所を中心に排出上限を設定。同時に税控除などの政策を組み合わせて企業の負担軽減にも配慮する。 立案を担当した京都大公共政策研究科の諸富徹助教授は「化石燃料に依存する社会のあり方を転換する必要がある。排出量取引は脱化石燃料に取り組む人が得をする仕組みで、社会の根本的な転換につながる」と強調。WWFは国会議員や企業関係者を招いた説明会を始めている。京都議定書に基づくCO2などの削減期間のスタートが08年に迫るなか、排出量取引の早期実現を目指しロビー活動を活発化させていく方針だ。 【排出量取引】 企業は国からCO2の排出枠(上限)を課せられる。対策を進めて排出を枠内に押さえられた場合、余った分を市場で売却できる。一方、排出枠を超えた企業は市場に出た他社の排出枠を購入し、自社の削減分として計算できる。自社だけで削減するより購入する方が低費用で済む場合もあり、国や地域全体としては最低限の費用と労力で排出削減が進む。京都議定書は先進国が排出削減策として排出量取引を利用することを認めている。(2007年3月20日掲載)
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