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Kyoto Shimbun
光化学スモッグ 再び増加
中国からの「越境汚染」指摘 国内排出源も一因に
「これが、越境汚染の様子を示した図です」 国立環境研究所(茨城県つくば市)の大原利真・広域大気モデリング研究室長は先月、シュミレーション結果を発表した。5月6−8日の東アジアの大気オゾン濃度の変化を示した地図。高濃度の地域を示す赤色の部分が時間を追って中国から日本へ移動している。 オゾンは光化学スモッグの主成分だ。研究所と九州大のグループは東アジア各地のエネルギー消費や自動車台数、気象条件などをもとにオゾン濃度の変化を計算。中国沿岸部にあった高濃度のオゾン域が西風に乗って日本へ移動する様子を再現した。実際、5月8、9日には九州から関東にかけて光化学スモッグが観測され、各地で注意報が発令された。 アジアの経済発展に伴い、近年、大気汚染物質の排出増とその広域的影響が注目を集めている。日本国内では70年代以降、工場や車の排ガス規制が進んで汚染度は低下していたが、最近は工場の少ない地方でもオゾン濃度の上昇が観測されており、中国からの「越境汚染」の可能性が指摘されている。 京都、滋賀でも光化学スモッグ注意報の発令日数が増え、昨年は京都府で7日、滋賀県で6日あった。しかし大気汚染の仕組みは複雑で、特に都市部の場合「必ずしも越境汚染だけが原因とは言えない」と京都大の倉田学児・工学研究科准教授(大気環境工学)は話す。 倉田准教授は日本上空のオゾン濃度に中国大陸由来の汚染物質がどの程度影響しているかを数値計算した。季節によって差はあるものの、1日最大0・01ppm−0・015ppm程度(2004年、東京都檜原村を基準に計算)濃度を押し上げていることが分かった。ただしこれは汚染物質によって増えたと考えられるオゾン量の一部に過ぎないという。
ほかの原因としては夏場の日射量や国内で使われている塗料、溶剤に含まれる揮発性有機化合物(VOC)の影響が有力視されている。VOCのうち非メタン炭化水素は光化学スモッグの生成を促す。その排出量は減少傾向にあるが、国内での規制は昨年四月に始まったばかりで、スモッグ発生を抑えるには至っていないのが実情だ。 VOCの排出源は塗装工場やガソリンスタンド、身近な品では床用ワックス、ペンキがある。「単に越境汚染のせいと考えず、国内の汚染物質にあらためて目を向けることも大切」と倉田准教授は言う。 【光化学スモッグ】 6−8月の風が弱くて気温が高く、晴れた日に発生しやすい。車や工場から排出される窒素酸化物や炭化水素が原因。これらが強い太陽光を受けると化学反応で光化学オキシダント(Ox、主成分はオゾン)を生み、その濃度が高まって白いもやのようになる現象を光化学スモッグと呼ぶ。目がチカチカしたり、のどが痛くなったりし、農業被害も引き起こす。大気中のOx濃度が0・12ppmで注意報、0・24ppmで警報が発令される。(2007年6月19日掲載)
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