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Kyoto Shimbun
インド・ボパール湖保全事業
国際協力 道半ば 環境改善は成果 施設は管理できず
こんもりと茂った樹木が日差しを遮り、下草が乾燥した土に根を下ろす。ボパール湖の周囲は広大な緑地が広がる。マディヤ・プラデーシュ州湖沼保全機構のサンジーブ・サッチャーデブ博士は「かつてここは農地だった。住民に移動してもらい、約千ヘクタールを緑地に変えたのです」と説明する。 かつては周辺の農地から細かな土砂や肥料分が湖に流れ込み、湖水の水質悪化を招いていた。緑化はそれを防ぐための取り組みだ。 3分の1 ボパール湖は川をせき止めた人造湖で、市民の水道水やかんがいに利用されている。周辺の急激な都市化で水質が悪化したため、1995年から2004年にかけて保全事業が行われた。事業評価は、取り組みの効果を確かめるため実施されている。 緑化のほか▽下水道施設の整備▽湖水中に空気を送り込んで水を浄水する施設の設置▽化学塗料を塗った人形を湖に投入する宗教行事の場所を湖外に新設−などが進められた。この結果、水の汚れを示す化学的酸素要求量(BOD)の1リットル当たりの平均値は36ミリグラム(98年)から12ミリグラム(06年)に改善された。
ILEC科学委員会委員長の中村正久・滋賀大環境総合研究センター長は「これほど総合的な取り組みが行われるのは珍しい。湖沼環境にとって非常に有意義だ」と話す。半面、視察では課題も見えてきた。 「3日前」 「とてもきれいな水が出るようになった。みんな喜んでいる」。湖の近くに設けられた人工の洗濯場。洗い物を稼業とする人たち「ドービー」のまとめ役シェイク・トーフィーさん(30)が、視察団に笑顔で近寄ってきた。「水はいつから出ている」。視察団が尋ねた。「3日前だよ」。率直な答えに、視察団の表情が固まった。 ドービーはかつて湖で洗濯していた。人工洗濯場は湖の汚濁防止のため建設され、浄化施設を通った湖水が供給されているはずだった。中村委員長は「3カ月前の視察の際、浄化施設は稼働しておらず水は緑色だった。今回、われわれが来るので急きょ水が出るようにしたのだろう」と推測する。周辺から土の流入を防ぐ川のせきは、水害を起こすとして農民に壊されたまま放置されていた。過去の視察でも、湖の価値を市民に伝える学習施設は照明が消され、人けがないなど、施設を造ったものの役に立たなくなっている例が見られたという。 中村委員長は「組織間であちこちにギャップ(溝)があり、誰が管理するのかはっきりしない。取り組みの重要性もPR不足で、市民の理解と協力が得られていない」と話す。「道路建設などと違い、環境保全は息の長い取り組みとなる。問題点を洗い出して課題を克服することは、各地で進む同様のプロジェクトにも役立つはずだ」と強調している。
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