Kyoto Shimbun


鳥の目 虫の眼


純粋なイワナ残して

 オレンジ色のおなかがかわいい、イワナの赤ちゃん。隣りにはイワナの卵があって、もうすぐ生まれる赤ちゃんの影が見える。

 京都市右京区嵯峨樒原の山中で人工養殖されている。ふ化槽から、小さな容器に移してもらって撮影した。赤ちゃんの体長は、まだ一センチ程度。ふ化槽には、こうしたイワナの稚魚が百六十匹余、卵が百五十個近く育てられている。

 「今年はちょっと不出来でな…」とがっかりするのは、「山の魚の会」会長の松岡枕流さん(六七)だ。この会がイワナの養殖を始めたきっかけは、十五年余前のこと。左京区の久多川で見せられた魚が、純粋なイワナには思えなかった。

 より強い魚をと進められる人工交配が、自然をゆがめていくのでは、といった心配が、渓流釣りの仲間たちにあった。「今のうちに純粋なイワナを残していかな」

 稚魚を、いつ、どこに放流するかを、松岡さんは明かさない。「来世紀にかけて生き抜くイワナに、エールを送ってやってや。それでええやん」(2000年2月10日掲載)


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