Kyoto Shimbun


鳥の目 虫の眼


静かな夏、警鐘鳴らす木

 「あ、あった」。京都市北区の鴨川右岸沿い。20メートルを超すアキニレの大木で、生徒たちがいくつものセミの抜け殻を見つけた。高いところにあるのは、棒で落とす。この日は19個が集まった。

 京都成安高生物部(上京区)は、1997年からセミの羽化状況などを調べるため、定点調査を続けている。7月9日から抜け殻の採取を始め、25日は計70個を確認し、この夏のピークを迎えた。5年前には1日約300個の記録もあったが、殻の数は年々減少し、今年は過去最低だという。顧問の米澤信道教諭は、街の再開発やビルの高層化、道路拡幅などが原因だと指摘。「人間の身勝手な植え替えで好む樹種がなくなり、舗装が進んで幼虫に欠かせない地面が減ったり。都市型とされるクマゼミさえ減少している」と危機感を募らす。

 周辺では酷暑をかきたてるようにセミの声が響く。「町中からセミが消える日が近づいている」。1本の木が警鐘を鳴らしているようだ。(2002年8月9日掲載)


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