西阪 保則

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異素材と植物素材 共存に挑む

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作品 モビール(花材はアルミ、ヘリコニア、向日葵=ひまわり、瑠璃玉薊=るりだまあざみ 幅60cm×奥行60cm×高さ100cm)
 かつて禁花というものがあった。いけばなに使ってはいけない花。匂いが強かったり、トゲがあったりする花材だ。しかし、今、多くのいけばな流派で禁花はない。いけばなというものが、床の間での神聖な存在から、造形作品へと大きく変わったのが、主な原因だ。

 禁花どころか、華道家は異素材も多く使う。西阪保則は異素材と植物素材との共存に挑む作家だ。

 西阪は江戸時代から続く専慶流十七代家元・専慶の長男。父・専慶がボク(古木)使いを得意とするのに対し、金属にこだわる。

 「ボクだけでは古い感じがするんです」

 一九九三年、二十歳のときに開かれた「創流三百年記念展」でのデビュー作はまだ父親の影響が強かった。絵の具のチューブをかたどったオブジェ花器に、漂白した無花果(いちぢく)のボクを大きく構成、ピンクのエビデンドラムを配した。その間をカーブしたアルミ片が五、六本遠慮がちに光を放っていた。

 「最初、金属は頭になかった。制作している過程で、なんかアクセントがほしいと思って。それで、手元にあった廃品を使ってみた。そしたらすごく変わった感じが出て」

 金属の効果を発見した西阪は、その秋の「いけばな新進作家展」では、枝ものの代わりに四、五十本のアルミ片を使った。続いて、鎖、水道管、金属繊維パイプ、銅の半球体…さまざまな金属を試みる。この春、「hana99 花KATACHI」で発表した作品は、四角い金属パイプのわくのなかに黒く塗装した松のボクを据え、ドラゴン柳をからませた。会期中、柳から無数の青い芽がプチプチと生い立ち、感動的な作品となった。

 今の暮らしに合う新たな様式を模索

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今春「hana99 花KATACHI」で発表した作品
 「現代のわれわれの暮らしでは、有機物と無機物が混在しているが、まだまだけんかしている。いけばなという世界のなかで、両者の調和を追求したい」

 金属とともに彼が好むのは洋花だ。

 「和花は、われわれ世代にとっては、もはや非日常。カレーやハンバーグになじんでいると同じく、洋か和かどちらを、というと、洋のほうに親しみが」

 若年層のいけばな離れが進んでいる。伝統のいけばなを習っても家で飾る環境がない。「いけばなが非日常になりつつある」という危機意識が、彼をして、金属や洋花に駆り立てる。和洋混在の現代の暮らしに合う新しい様式のいけばなへの模索だ。

 格子戸を開けると、竹を背に紫陽花の一ひら、二ひらを浮かべたつくばい。奧座敷に通ると、庭の木立がみずみずしい。西阪自身、この見事な数寄屋に暮らしながら、隣の近代的なビルで弟子たちにけいこをつけている。

(編集委員 林 恭子)
・にしざか やすのり・
1973年専慶流家元・西阪専慶の長男として生まれる。96年同志社大学法学部卒。日本いけばな芸術協会評議員。
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