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現代の空間に合うものを
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造形作品(花材はチューリップ70本、木炭30kg、オクラレルカ。花器はタンクローリーのふた。幅170cm×奥行170cm×高さ80cm) |
千代大海を思い出す。
「『モトヤンやろ?』って言われるんです。どうしてわかるのかなァ」。そらそうだろう。赤銅色の肌に茶髪、指輪、ブレスレット二個、ピアス三個…。
放任主義家庭。中学時代はガクラン姿でバイクを乗り回し、高校時代はまっ茶っ茶に髪を染めて「ヤンキー」をやった。「あいつは強い」と思われたくて、けんかもした。学歴と無関係の実力世界、不動産業に入るのが夢だった。それが急転直下いけばなに。
「父と出会ったんです。高校卒業時、それまでほとんど話もしなかった父と将来のことについて相談する機会が多くなって。すごく魅力を感じた。感性とか技、自分自身の力で輝いて生きている。それでぼくもいけばなをやろうと」
華道家一族。祖父は本能寺未生流二代目華務長の中野竹鳳、父は同流総務の中野恭心。恭心は、先ごろ流祖で立華の名手、大住院日甫上人の立華を復元確立したいけ手だ。
大学入学と同時に父親の指導を受ける。厳しかった。が、エネルギーを向ける場所を発見した中野は、まっしぐらに花に進んだ。
「はっきり言って、父のアバンギャルドとぼくのアバンギャルドは違う。でも、生花と立華は父から吸収できるものがある。力がついたら、刃向かっていけばいい―と思ってました」
この二年、ようやくチェックが入らなくなった。
「皆さん、新しい素材を使った作品が新しいと思っている。そうじゃない。たとえば桜。根、幹、枝、花、葉、実…いろんな要素があるけれど、どこにウエートを置いて新しい表情を見せられるかが、これからのいけばなだと思う」
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「hana96 花フィーリング」で発表した森林をテーマにした作品 |
「床の間だけではなく、現代の空間に合ういけばなができるかどうか。本屋にだって対応できるいけばながあると思う。花を入れなくてもいい。ベニヤの角材だけで空間を満たしたらいい。空間丸ごとプロデュースするんですよ」
「ウインドディスプレーヤーとの違い? ぼくは生まれたときからずーっと、花を見て、感じて、育ってきた。ウインドディスプレーをしようが、舞台美術をしようが、ぼくは華道家なんです」
書にのめり込み、フラワーアレンジを手がけ、サーフィン、スノーボードに熱中し、ファッションショーに通い、なにより「いつも恋をしている。作品は好きな人のためにいけてる」
火のような魂。生み出す作品は繊細さと大胆さを併せ持ち、エネルギッシュで完成度が高い。松の葉と実と枝を使った現代版松一式。見る者を時空を超えた不思議な境地へ誘う森林をテーマにした作品。波紋を描く砂地からいとしくも生い立つ蓮の花と水をたたえた葉。どれも命に満ち満ちている。
(編集委員 林 恭子)
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