Kyoto Shimbun 2000.4.6
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カギ握るNPO 市町村

 「ここのホームヘルパーさんは話相手にもなってくれるから、いいんですよ」。介護保険がスタートした4月1日、京都市伏見区のNPO(非営利法人)「ハーモニーきょうと」の訪問介護を受ける同区の男性は、顔をほころばせた。

 この日、NPO事務所には、京都府から介護保険のサービス事業者に指定するとの通知が届いたばかりだった。

地域の福祉力

 13年前、施設職員らが福祉ボランティアを始めたのがきっかけで、今年1月にNPO法人の認証を受けた。これまで有償ボランティアでやってきた訪問介護などの利用者は月40人前後。うち半数が介護保険の適用者になったため、対応できるようサービス事業者の指定を受けたのだ。

 住民が橋渡し

 ただ、半数は介護保険の対象にならない「自立」認定者や障害のある人。吉田信吾事務長は「寄付金などで何とか運営してきたが、今後は介護保険からの報酬で、保険では足りなかったり、対象外になる人にボランティアサービスを続けたい。公・私のサービスで地域福祉を支える」と理想を掲げる。

 営利を求めないNPOやボランティアグループは、介護保険の選択肢を広げるとともに、制度の不備を補う存在として注目が集まっている。

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NPO「ハーモニーきょうと」からの訪問介護(家事援助)で、話を弾ませるヘルパーと利用者(京都市伏見区)
 サービス提供だけでなく、介護保険の運営に住民の立場から参加しようとする試みもある。

 京都市では、3月に住民ら200人が参加し、「介護保険にかかわる会」の結成総会を開いた。全盲の琴演奏家でもある梶寿美子代表(52)は「利用者の側に立って行政に意見を言ったり、事業者との橋渡し役になりたい」と意気込む。

 滋賀県では「介護の社会化を進める1万人市民委員会・滋賀ネット」が、サービス内容の点検や苦情を受け付けるオンブズマン制度の導入を各市町村に提案している。

 ネット世話人の1人、滋賀地方自治研究センターの北川憲司常務理事は「問題発生後の対応でなく、事前にチェックして問題を防ぐのがオンブズマンの役目」と必要性を強調する。

 独自の施策で

 こうした動きを受け、彦根市では新年度の介護保険事業計画に「オンブズパーソン制度」を盛り込んだ。2001年度当初からの発足を目指す。近く専門家による委員会を設け、「サービス内容を評価する市民レベルのオンブズマンと、事業者と利用者間の契約をチェックする専門的オンブズマンのあり方などを検討する」(市担当者)。

 介護保険の運営をする市町村の中には、こうした制度の「肉付け」に、独自の知恵を絞るところも増えてきた。

 京都府の園部町では、65歳以上の保険料を国が定めた5段階きざみでなく、6段階にした。低所得者の負担を国基準より半減させ、代わりに高所得者の負担分を倍にしたのだ。亀岡市など周辺5市町も同調した。発案者の野中一二三園部町長は「高齢者は恵まれた人と弱い人の落差が大きい。介護保険は相互扶助の精神であるべきで、所得に応じた負担は当然」と六段階保険料に込めた福祉哲学を明かす。

 京都では京田辺市と山城町、滋賀では甲西町が介護保険の横出しサービスでオムツ支給などを行う。通常より全体の保険料が上がるものの、「国の基準より町の実態に合った保険サービスを行う」(甲西町)との決意がある。

 大半の市町村が一般財源で配食などの介護保険にないサービスや、「自立」認定者への訪問介護などを行う。長岡京市は短期入所(ショートステイ)の上限日数を増やし、低所得者の利用料を独自減免する手厚い態勢を打ち出している。

 「福祉に熱心な自治体と、横並び意識から抜け出せない自治体の差は介護保険でどんどん開く」(池田省三龍谷大助教授)ことになりそうだ。

 介護保険制度は、自治体や住民、地域が生み出す「わがまちの福祉力」を問うている。

(第三部おわり=高田敏司、長尾康行、松下亜樹子、二松啓紀、森山敦子、矢ケ村尚幸、小坂綾子、太田敦子が担当しました)


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