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 京都新聞は、観光都市京都のパワーアップを目指して企画「観光・京都おもしろ宣言」をスタートさせました。人々の価値観はいま、物の豊かさから心の豊かさに移りつつあります。京のまちは伝統、歴史、自然環境と、どこを取っても格別な魅力をたたえてきました。京都新聞はそうした魅力に光を当て、京都を元気にする紙面を多彩に展開するとともに、フォーラムやイベントの開催、伝統文化体験の案内など、さまざまな「おもしろ」企画を発信していきます。

魅どころたっぷり

 京都の「まちなか」がいま、ダイナミックに変化している。新しい複合商業施設が相次いで誕生する一方、「うなぎの寝床」と呼ばれる古い町家をレストランや商店に再生させる動きが活発化、観光京都の新たな魅力となってきている。


伝統の京町家 リニューアル

木造の懐かしい雰囲気を残し、ホテルに生まれ変わった町家。外国人の利用も多い(京都市下京区・庵)

 京都の町家が観光資源として見直されている。老朽化に伴う建て替えが進む一方、近年の「和ブーム」を背景に、飲食店やホテルとして生まれ変わっている。現在京都市内に残る町家は大正時代から戦前にかけて建築された物件が中心。伝統ある京町家ならではの外観と落ち着いた雰囲気の内装が観光客に人気だ。

 下京区富小路通高辻上ルのホテル「庵(いおり)」。格子窓から日光が差し込み、吹き抜けの空間には古い松材の梁(はり)が見える。町家再生に取り組むベンチャー、庵(下京区)が明治から大正にかけて建てられたとみられる豆問屋の町家を改装し、昨春開業した。

 敷地は通りの奥に長細く入り込む町家特有の「うなぎの寝床」で、延べ面積は約250平方メートル。吹き抜けの空間や大広間、坪庭などを残しながらもシャワーやベッドを完備し、現代生活に合った利便性も確保した。

 利用者の2割は外国人という。川島志保ゼネラルマネジャー(37)は「普通のホテルにはない雰囲気があるので、お客さんに京都に来ていることを実感していただける」と胸を張る。

 中京区衣棚通御池上ルの居酒屋「清水家RAKUCHIN」も築100年以上の町家だ。渡辺哲也社長(31)が土地・建物を約3800万円で購入し、2004年4月にオープンした。

 京都市が1998年にまとめた調査によると、市内の町家は約2万8千軒だった。近年は減少傾向にあるとみられるが、市は「町中の観光資源に活用できる」(景観企画課)として改修などを支援している。とくに保存状態や立地条件がよい物件は活用の動きが広がっている。

町家を活用した飲食店。厨房は建築当初のままの吹き抜けで、天窓から採光できる(京都市中京区・清水家RAKUCHIN)

 町家の保存・再生に取り組む不動産会社八清(はちせ)(下京区)は、町家を買い取り、特徴的な内外装を残したうえで補修し、住宅や店舗向けに販売している。1年前から需要が急伸し、05年度は約40軒を販売した。営業担当の広瀬規子さん(27)は「町家独特の懐かしい雰囲気が利用客に受けるようで、店舗用途が増え始めた」と話す。

 京都商工会議所が03年秋に設立した「京町家はんなり会」は、本物の町家を使った店舗だけが会員になれる。当初62店だったのが、現在は99店にまで増えた。外観写真とともに店舗概要をまとめた「はんなりマップ」は延べ17万部を発行する人気。京都駅の観光案内所や京商ビル(中京区)、主要ホテルなどで無料配布中で、観光客に町家店舗の情報を提供している。


[京都新聞 2006年3月31日掲載]