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 京都新聞は、観光都市京都のパワーアップを目指して企画「観光・京都おもしろ宣言」をスタートさせました。人々の価値観はいま、物の豊かさから心の豊かさに移りつつあります。京のまちは伝統、歴史、自然環境と、どこを取っても格別な魅力をたたえてきました。京都新聞はそうした魅力に光を当て、京都を元気にする紙面を多彩に展開するとともに、フォーラムやイベントの開催、伝統文化体験の案内など、さまざまな「おもしろ」企画を発信していきます。

おこしやすの心 5 明日へ

日々新た 古今の魅力結集し迎える

柏原康夫さん

 今年もまた、京都に、観光の秋が来る。時代祭は歴史絵巻を繰り広げ、鞍馬では「火祭」が人々を蠱惑(こわく)する。紅葉彩る有名社寺や名所に、昼も夜もその魅力を求め、人々が集う。

 これら行事や名所にかかわる人たちは、途切れることなく伝承への努力を続け、また、魅力の向上にも余念がない。一方、昨夏には、京都府、京都市、京都商工会議所、京都府観光連盟、京都市観光協会の5団体が「京都観光振興会議」を設立。京都観光を盛り上げるオール京都の体制が整った。

堀内真理子さん

 「神社仏閣ばかりか、高度な産業や大学の集積、周囲の自然と、京都市内には、最高レベルの観光資源が凝縮している。この比類のない魅力をさらに増すのが、京都府域との連携」と話すのは、府観光連盟会長柏原康夫(68)。

 森林保全を目的にした京都モデルフォレスト協会理事長も務める。「山と海は日本を再生する」との考えから、観光においても自然がいかに大切かを強調。「京都市周辺や豊かな自然の魅力あふれる丹後と、文化財など圧倒的な観光資源を持つ京都市域との交流を深めていくこと。また、滋賀県はじめ2府3県との連携も加えることで、京都の魅力はさらに重層化し、深まると思います」と語る。

永井久美子さん

 京都府も熱を帯びる。「農林漁業も、グリーンツーリズムとして、京都市域にはない府内の観光の魅力になります。隠れた文化財などお宝も、伝統産業も独自なものが多い。地元でこれを認識して、魅力をさらに輝かせ、オール京都の取り組みができれば、京都観光はさらにすばらしいものになる」と、府の観光政策監堀内真理子(58)は京都全域を視野に入れた観光事業の拡大を期待。「住人にとってもいい観光でなければいけない。京都市内では、シーズン中の交通渋滞など、集中しすぎによる弊害もあります。分散化をはかる意味からも、府内の観光資源の発掘と発信に務め、観光客を誘致したい」と話す。

 府内全体を展望した京都の観光が、動きだしてきたといえる。そんな中で、突出した観光資源を持つ京都市は、地域活性化を観光の切り口で、と今年から「ニューツーリズム創出事業」を始めた。

奥原恒興さん

 「かいわい観光、体験型観光につながる新たな観光資源を発掘しよう。そして観光客の時期的、場所的な集中を軽減できれば」と狙いを話すのは観光部長永井久美子(54)。

 「私は京都市内で生まれ育ったのですが、ほんとうに知らないことがまだまだあります。魅力的な観光資源も眠っているはず。地域の団体などが取り組む事業に資金的な援助をし、アドバイザー派遣などで事業をバックアップします」と。「こうして発掘した新しい魅力の提案と、一方でオフシーズンこそゆっくり、じっくりほんとうの京都がわかることも積極的にPR。四季を通じてすばらしい京都を訴えていきたい」という。

 「昨年は時間的にゆとりもあり、京都の街を歩き回ったり、京都検定の勉強で、魅力を再確認しました」というのは、今年7月、京都商工会議所専務理事になった奥原恒興(60)。「サミット誘致で実感したのは、全国でほんとうに京都に思い入れがあり、あこがれを持っている人が多いなあということでしたね」とあらためて京都の人気に驚く。

 ただ、この人気の高まりに思うところもある。「基本は、観光客を迎える京都の住人が、ほんとうに暮らしやすい街、暮らしてよかったと感じられる街をつくっていけるかどうか。そして、皮相に流れず、京都そのものの質を高めていくことが大事ではないでしょうか。そうすれば、京都を訪れる人々を心から満足させられると思います」と今後の取り組みを心する。

道端進さん

 順調な観光客の増加に「驚異的な伸びです。もう今年中に5千万人達成も確実でしょう」と、京都市観光協会会長道端進(78)は目を細める。

 「これだけ順調に伸びたのは、やはりリピーター(何度も来る人)の存在ですね。リピーターをこれからさらに増やしていくためには、京都にある世界的に著名な先端企業の製品とか、常にどこにもない新しいお土産を開発するなど、今に生きる京都もアピールすることが必要です」と。そして「ただ、何より大切なのは、地道でも、来てよかったと思ってもらえるもてなしの心です。これをさらに高めることが、結局は、京都の魅力を一段と増していくための要諦(ようてい)といえます」と言葉は尽きない。

 伝統と先端、歴史と先見、豊かな自然にも恵まれた京都は、そこにさまざまにかかわる人たちの思いで、観光という織物に織り上げられる。それは日々新た。きょうも明日も、あさっても、おとなう人々を引きつけてやまない。

(敬称略、「人ありて」おわり)

[京都新聞 2007年9月22日掲載]