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 京都新聞は、観光都市京都のパワーアップを目指して企画「観光・京都おもしろ宣言」をスタートさせました。人々の価値観はいま、物の豊かさから心の豊かさに移りつつあります。京のまちは伝統、歴史、自然環境と、どこを取っても格別な魅力をたたえてきました。京都新聞はそうした魅力に光を当て、京都を元気にする紙面を多彩に展開するとともに、フォーラムやイベントの開催、伝統文化体験の案内など、さまざまな「おもしろ」企画を発信していきます。

修学旅行

少子化にらみ積極誘致

京都市産業観光局理事・山内秀顯氏

嵐山で修学旅行生を案内する「修学旅行生お助けマン」(2005年5月、京都市右京区)

 年間1700万人もの入場者数を誇る東京ディズニーランド。うち9割以上がリピーターといわれる。一方、年間4500万人を超える観光客が訪れる京都市。その約9割が3回以上の入洛で、東京ディズニーランドと同等かそれ以上の高率である。観光を含め事業成功のカギを握るのがリピーターであることは衆人の一致するところである。

 では、京都観光のリピーター率の高さはどこから来ているのか。その答えを解くカギは修学旅行にある。リピーターの多くが初めて京都を訪問したのは、実は修学旅行なのである。「そうだ 京都 いこう」、このキャッチコピーは関西ではあまりなじみはないが、テレビCMやポスターなど首都圏ではJR東海のキャンペーンとしてあまりにも有名である。関西の他の自治体関係者が「ぜひわが地域もテレビCM等で取り上げてほしい」と要望されているが、「わずか15秒のテレビCMで視聴者にそこへ行ってみたいと思わせることは通常では難しい。ではなぜ京都は可能なのか。それは以前訪れたことのある特別の場所、思い出の地なのである。そうだ、京都、いこう」とJR東海は答えている。

 全国の修学旅行対象の小6、中3、高2の総数は約370万人。そのうち京都市を訪れた修学旅行生は約101万人(平成16年)。全国に占める割合は27%。中でも中学生が約60万人と圧倒的に高く、全国からの訪問率も5割近くに上っている。また、修学旅行の歴史は明治にさかのぼるが、昭和30年代に専用列車「きぼう号」等の運行が開始されるなど、ほぼこの時期に現在の修学旅行制度が定着、現国民の半数近くが京都に修学旅行で訪れているといえる。これは京都観光にとって大きな強みであり、旅行や紀行番組でなく、テレビドラマの舞台やCMに京都が登場するだけで、視聴者に京都旅行への動機付けを与えているのである。

 このように大切な修学旅行であるが、全国的な少子化の影響で毎年2%前後も対象生徒数が減少し、旅行目的の多様化や海外旅行の拡大など大きな変化も起きている。こうした中、京都市は平成12年に桝本市長が全国に先駆けて数値目標を掲げ戦略的に観光政策に取り組む「観光客5000万人構想」を宣言した。翌年から関係団体とともに全国の学校や教育委員会等を毎年約150カ所訪問するなど、積極的な誘致活動を展開。これまで九州に限られていた沖縄県の公立中学校が初めて京都を訪問することが決まるなど大きな成果が生まれている。さらに、海外からの修学旅行誘致や大学・専門学校の研修旅行など新たな分野も積極的に開拓する予定だ。

 京都の歴史は日本の歴史といっても過言ではない。日本の歴史と文化を学び、よき思い出となる京都への修学旅行は、将来の京都ファン、リピーターとなっていく京都観光の原点と位置付けられる。国際化の進展や教育の多様化を踏まえ、京都への修学旅行の誘致強化と受け入れ環境の充実を図らなければならない。

やまうち・ひであき 1952年京都市生まれ。同志社大卒。76年京都市採用、民生局社会部庶務課などを経て、96年広報課担当課長、98年広報課長、02年総務局総務部長、04年産業観光局観光部長。06年4月から現職、京都市観光協会派遣。

[京都新聞 2006年4月11日掲載]