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 京都新聞は、観光都市京都のパワーアップを目指して企画「観光・京都おもしろ宣言」をスタートさせました。人々の価値観はいま、物の豊かさから心の豊かさに移りつつあります。京のまちは伝統、歴史、自然環境と、どこを取っても格別な魅力をたたえてきました。京都新聞はそうした魅力に光を当て、京都を元気にする紙面を多彩に展開するとともに、フォーラムやイベントの開催、伝統文化体験の案内など、さまざまな「おもしろ」企画を発信していきます。

ブランド推進

京都の都市格 向上を

京都商工会議所産業振興部専門部長・北富洋二氏

第2回京都検定。京都ブームを追い風に受験者は前年より3割も増えた(2005年12月、京都市北区、立命館大)

 京都ブランドを発信する意味合いは二つある。一つは、「ほんもの」にこだわり続け、上質の「京もの」を広く内外に伝えること。京都には、伝統技術と創造的精神に裏付けられた多くのブランドがいまも健在である。

 もう一つは、京都のまちそのものの品位・品格を高め、世界有数の都市ブランドとして確立することである。京都商工会議所が現在取り組んでいるブランド推進事業は、まさにこの発想に立った運動である。

 京商は、2001年に京都ブランド推進特別委員会を発足した。04年には『京都創造者憲章』を制定、現在まで京都のブランド力に、都市ブランド、あるいは都市格を高める側面から取り組んでいる。

 憲章は、「春はあけぼの…」から始まる『枕草子』をモチーフに、京都の持つ深い精神性を表現した。この憲章の精神をより多くの人に知ってもらうため、このほど『京都の都市格(ブランド)を考える』というタイトルの本も出版した。市民に広く「京都の都市格を高めるには何が必要か」「次世代に京都のライフスタイルをどのように伝えていくのか」を考えていただく契機になればと期待している。

 21世紀のグローバル時代は、一方で都市間競争の激しい時代になるともいわれる。強大なグローバルブランドが世界を席巻し、うっかりすると都市ごとに保っていた個性が浸食されて、どこも同じような街並みに塗り替わってしまう危険性がある。そうした時代だからこそ、都市の存在価値と、市民が果たすべき役割をしっかりと見定めておかなければいけない。

 京都には、悠久の歴史に培われた豊かな文化と自然が息づいている。京都人は、自然を鏡に感性をとぎすまし、出来栄えを競い合いながら伝統を受け継ぎ、その中で革新を図ってきた。

 一昨年から実施している「京都・観光文化検定試験(京都検定)」は、全国から延べ2万5000人、京都府内から延べ1万5000人以上が受験した。京都に関する深い知識と愛着を持った多くの人々があらためてその歴史、文化、環境、ライフスタイルを学び、日々の生活にいかそうとしていることは実に心強い。このような市民の意識の高さが京都の次のステージをつくるもとになると確信している。

 都市は成長するに連れ魅力とともに矛盾をも産み出していく。京都においても景観問題や街中の美化問題など、多くの改善すべき要素を抱えながら現在に至っている。京都が、安心安全で風情にあふれた空間を散策できるようになれば、住民の満足度も飛躍的に向上する。そうなれば観光客も京都により強いあこがれを感じ、都市ブランドへの信頼を高めていくだろう。

 そのためには行政はもちろん、企業も市民も、それぞれの立場で京都を創造する一員としての意識をもつことが不可欠となる。それが京都の都市格を向上させる第一歩ともいえよう。

きたとみ・ようじ 1947年生まれ。芝浦工業大学卒。1972年オムロンに入社、営業および営業企画部門に勤務。大阪支店長、IT推進総括部長を経て、2005年から京都商工会議所へ出向、主に京都ブランド推進事業を担当。

[京都新聞 2006年5月2日掲載]