メニュー
 京都新聞は、観光都市京都のパワーアップを目指して企画「観光・京都おもしろ宣言」をスタートさせました。人々の価値観はいま、物の豊かさから心の豊かさに移りつつあります。京のまちは伝統、歴史、自然環境と、どこを取っても格別な魅力をたたえてきました。京都新聞はそうした魅力に光を当て、京都を元気にする紙面を多彩に展開するとともに、フォーラムやイベントの開催、伝統文化体験の案内など、さまざまな「おもしろ」企画を発信していきます。

京都で結婚式

潜在ニーズ取り込め

ワタベウェディング社長・渡部隆夫氏

京都の社寺での結婚式が人気を呼んでいる(京都市東山区・清水寺)=ワタベウェディング提供

 「あんたんところは挙式の輸出ばっかりして、もっと地元に貢献してや」という厳しいお話を、ある京都の神社宮司よりいただいたことがありました。宮司は当社が海外挙式を主に取り扱いしていることを良くご存じだったからです。

 その宮司の言葉に背中を押されて作った挙式プラン「都絵巻」の利用が最近増えています。この挙式プランは、清水寺や上賀茂神社など京都の有名な神社仏閣で式を挙げられるものですが、東京や名古屋のお客さまが増えてきて、本質、本物を求めるお客さまのニーズに手応えを感じています。

 京都への観光客は、ここ5年で約700万人増加して、目標の5千万人にあと3百万人というところまで迫っていますが、課題は宿泊観光客の取り込みです。観光客1人あたりの平均消費額は、日帰り客7千円に対して宿泊客は2万9千円と相当差があるのですが、京都の宿泊観光客は26%とまだまだのりしろが大きいからです。

 旅行を伴った挙式は「デスティネーション挙式」といわれますが、私は「京都挙式」をブランド化して挙式需要を取り込めれば、この宿泊観光客増大に極めて有効だと思うのです。

 当社の未婚者に対する全国調査では、居住地以外のいわゆる「リゾート」で式を挙げたいと考えている人は約30%で、そのうち京都を意識している人が約6%おられました。国内の年間婚姻組数は約70万組ですから、潜在ニーズは約1万3千組となります。関西の挙式単価は1人4万円以上ですが、もし全国からのデスティネーション挙式が一般的になれば、宿泊観光と関連産業収入が増大して、大変な効果が期待できると思うからです。

 現実に、沖縄では行政の積極的な取り組みで、1999年にはわずか2百組であったデスティネーション挙式が昨年は4千6百組となり、1組あたり平均20名の旅行を伴った挙式目的の観光客を集めています。沖縄の宿泊観光客の単価は約7万円といわれますから、挙式を伴った1人あたり単価は約10万円以上と想定されます。わずか6年で約100億円の観光収入が増加した計算になります。沖縄県ではその効果を稲嶺知事が認め、デスティネーション挙式1万組構想を打ち上げ、官民一体で取り組んでおられます。

 京都には、既に約1万3千組の潜在ニーズがあることから、単純に計算すると500億円の市場を創出できる力があることになりますが、現状の関西圏外からの挙式組数は1千組弱と想定されています。京都は、昨年1年で約170万人観光客が増えましたが、観光収入は600億円の増収ですから、その可能性は非常に大きいと思われます。

 先日も、上賀茂神社で外国人カップルの挙式が行われました。ホームページや京都の友人をたどって、わざわざ京都まで来られたようです。外国人観光客を誘致する「ようこそジャパン」キャンペーンの一環で、日本人だけにとどまらず、外国人の挙式ニーズの取り込みにも力を注いではいかがでしょうか。

 行政や京都の観光協会、観光関連企業と連携し、「京都挙式」を通して宿泊観光客の増大に官民一体で取り組んでいけたらと夢を描いているところです。

わたべ・たかお 1941年京都市生まれ。京都府立山城高卒。1961年にワタベ衣裳店(現・ワタベウェディング)に入店し、78年に社長就任。京都経済同友会代表幹事や関西ニュービジネス協議会常任理事、日本ブライダル事業振興協会常任理事を務める。

[京都新聞 2006年10月5日掲載]