Kyoto Shimbun 1997.7.9




生まれ変わる京都駅








  <2>劇場効果

 JR京都駅の「みどりの窓口」に十代の少女ら約百人が行列を作った。先月一日のことで、中には二日前からの泊まり込み組もおり、通勤客らの視線をよそに若い熱気が構内を包んだ。

 ■斬新な企画で演出■

 彼女らの目当ては、新京都駅ビルに八月九日オープンする劇場「シアター1200」の公演チケットだ。若者らが熱狂する人気アイドルたちの京都初公演とあって、前売り券は二時間足らずでほぼ完売した。

 同劇場は、全国のJR駅ビルで初の常設劇場となる。座席数九百二十五。光や音などハイテクを駆使した最新の舞台装置を備える。しかも、「南座」しか商業劇場のない京都で、茶の間の人気者を多数擁するジャニーズ事務所、ホリプロ、吉本興業の大手プロダクションが、持ち回りで公演するという斬(ざん)新な企画が注目の的だ。

 同シアターの三宅章介支配人は「これまでの京都にない新しい文化をつくる。ターゲットは若者」と言い切る。


 ターゲットは若者

 看板タレントの「こけら落とし公演」で話題をさらうジャニーズ事務所は、八カ月間にわたって、若手メンバーによる創作ミュージカルを上演する。

 新京都駅ビルにオープンする劇場「シアター1
 200」の人気アイドルによるこけら落とし公
 演のチケットを求めて、徹夜体制で陣取る少女
 たち(JR京都駅構内)
 「京都に来た修学旅行生に夢を与えたい」。ジャニー喜多川社長は、公演を四十五分間に区切り、修学旅行の日程に組み込みやすくするなど集客と情報の全国発信に力を込める。

 新京極の「京都花月」撤退から十年ぶりの京都復帰となる吉本興業も、寄席や新喜劇にテレビで活躍する一線級タレントを投入し、「一見(いちげん)客を想定した新しい実験」(河井泉総合プロデューサー)を試みる。どこも駅を念頭に企画を練っているのだ。

 「アジアの表玄関」を標ぼうする福岡市。その繁華街の中州近くに巨大な建物群がそびえる。昨年四月にオープンした複合商業施設「キャナルシティ博多」だ。ショッピングモールやレストラン街に、十三スクリーンを備えた映画館、ミュージカル専用劇場もある。

 福岡空港、JR博多駅、西鉄福岡駅とは、地下鉄などを使って十五分以内という好条件。この交通アクセスを生かし、この一年間の利用客は約千六百万人。うち娯楽施設は約六割を占めるという。観光客は九州一円から岡山県まで広がり、韓国、台湾の人も目立つ。

 「楽しく時間を過ごせる仕掛けで、都市の魅力を生み出し、集客のパイは広がった」。産みの親である藤賢一エフ・ジェイ都市開発社長は、人気の理由を分析する。

 滋賀県大津市でも昨年十一月、七スクリーンという京滋最大の映画館のある「大津パルコ」が開店した。長嶋高志店長は「週末は京都など市外からの来店客が六割」と、魅力的な都市装置の集客力を評価する。

 ■観光拠点として期待■

 京都は、豊かな文化と歴史遺産を誇る「国際文化観光都市」だが、現代の若者の好奇心を満たす施設は数少ない。修学旅行生は八四年の百四十五万人をピークに年々減少、九五年には最高時の三分の二まで落ち込んでいる。

 それだけに新京都駅ビルにかける地元の期待は大きい。中京区で団体旅館を経営する北原茂樹さん(47)は「ようやく社寺仏閣以外の観光拠点ができた。伝統分野でも体験学習などいろんな仕掛けを考えたい」と歓迎する。

 東映太秦映画村は今年三月、約六十億円を投じてアニメ映像技術を駆使した屋内娯楽施設をオープンした。JR二条駅周辺でも複合映画館やアミューズメント施設の計画が進む。

 新駅ビルが、若者をも引きつける歴史都市の新しい顔になるかどうか。間もなく幕が上がる。



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