<2>劇場効果 JR京都駅の「みどりの窓口」に十代の少女ら約百人が行列を作った。先月一日のことで、中には二日前からの泊まり込み組もおり、通勤客らの視線をよそに若い熱気が構内を包んだ。 ■斬新な企画で演出■ 彼女らの目当ては、新京都駅ビルに八月九日オープンする劇場「シアター1200」の公演チケットだ。若者らが熱狂する人気アイドルたちの京都初公演とあって、前売り券は二時間足らずでほぼ完売した。 同劇場は、全国のJR駅ビルで初の常設劇場となる。座席数九百二十五。光や音などハイテクを駆使した最新の舞台装置を備える。しかも、「南座」しか商業劇場のない京都で、茶の間の人気者を多数擁するジャニーズ事務所、ホリプロ、吉本興業の大手プロダクションが、持ち回りで公演するという斬(ざん)新な企画が注目の的だ。 同シアターの三宅章介支配人は「これまでの京都にない新しい文化をつくる。ターゲットは若者」と言い切る。 ターゲットは若者 看板タレントの「こけら落とし公演」で話題をさらうジャニーズ事務所は、八カ月間にわたって、若手メンバーによる創作ミュージカルを上演する。
新京極の「京都花月」撤退から十年ぶりの京都復帰となる吉本興業も、寄席や新喜劇にテレビで活躍する一線級タレントを投入し、「一見(いちげん)客を想定した新しい実験」(河井泉総合プロデューサー)を試みる。どこも駅を念頭に企画を練っているのだ。 「アジアの表玄関」を標ぼうする福岡市。その繁華街の中州近くに巨大な建物群がそびえる。昨年四月にオープンした複合商業施設「キャナルシティ博多」だ。ショッピングモールやレストラン街に、十三スクリーンを備えた映画館、ミュージカル専用劇場もある。 福岡空港、JR博多駅、西鉄福岡駅とは、地下鉄などを使って十五分以内という好条件。この交通アクセスを生かし、この一年間の利用客は約千六百万人。うち娯楽施設は約六割を占めるという。観光客は九州一円から岡山県まで広がり、韓国、台湾の人も目立つ。 「楽しく時間を過ごせる仕掛けで、都市の魅力を生み出し、集客のパイは広がった」。産みの親である藤賢一エフ・ジェイ都市開発社長は、人気の理由を分析する。 滋賀県大津市でも昨年十一月、七スクリーンという京滋最大の映画館のある「大津パルコ」が開店した。長嶋高志店長は「週末は京都など市外からの来店客が六割」と、魅力的な都市装置の集客力を評価する。 ■観光拠点として期待■ 京都は、豊かな文化と歴史遺産を誇る「国際文化観光都市」だが、現代の若者の好奇心を満たす施設は数少ない。修学旅行生は八四年の百四十五万人をピークに年々減少、九五年には最高時の三分の二まで落ち込んでいる。 それだけに新京都駅ビルにかける地元の期待は大きい。中京区で団体旅館を経営する北原茂樹さん(47)は「ようやく社寺仏閣以外の観光拠点ができた。伝統分野でも体験学習などいろんな仕掛けを考えたい」と歓迎する。 東映太秦映画村は今年三月、約六十億円を投じてアニメ映像技術を駆使した屋内娯楽施設をオープンした。JR二条駅周辺でも複合映画館やアミューズメント施設の計画が進む。 新駅ビルが、若者をも引きつける歴史都市の新しい顔になるかどうか。間もなく幕が上がる。 | |||||||