| 不正アクセスに厳しい対応を |
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警察庁は、不正な手段で企業や官庁のコンピューターに接続(アクセス)する行為を防ぐために、不正アクセス防止法(仮称)をつくり新たな規制を行うこととし、基本的考え方を十七日に公表した。意見を広く求めながら、次の通常国会にも法案を提出したいとしている。 不正アクセスは、コンピューター犯罪の入り口といわれる。他人の暗証記号・番号(パスワード)などを用いてコンピューター・システムに侵入する行為だがいったん侵入すれば、自分の正体を知られずに、さまざまなデータをのぞき見したり、いじったり、時には破壊したりすることが可能なので、詐欺などの犯罪につながりやすい。 プライバシーが絡む情報通信の世界は法規制にはなじまない。本来なら関係者の高いモラルに支えられていることが望ましい。しかし一部の暴走とはいえ、不正アクセスが横行する現状では、法による防止策もやむを得ない。コンピューター社会の信頼性、安全性を揺るがさないために厳しい対応も必要と考える。 コンピューター緊急対応センター(通産省関連機関)の調べでは、昨年の企業や大学などへの不正アクセスは、報告があっただけで四百九十二件だった。ことしは九月末までに六百三十五件にのぼっている。判明したのはほんの一部と見られるが、情報通信の普及とともに不正アクセスの総数も増え続けるはずだ。 先にイスラエルから金沢市の業者のコンピューターを通じ、米国防総省のコンピューターへ侵入を試みた例があった。同省へは世界中から年間二万五千件の不正アクセスがあるといわれる。 コンピューターのネットワークには国境がない。先のバーミンガムサミットでも、コンピューター犯罪防止策が重要課題とされた。日本とロシアを除く参加六カ国は既に不正アクセスに法的規制を加えており、無規制の日本が国際的な抜け道となるのも好ましくない。 不正アクセスの増加に伴い、コンピューター犯罪も増えてきた。九八年版警察白書はこうした犯罪を特集し、昨年一年間に二百六十三件の発生が判明、五年前の八倍にものぼっていると警告した。 その内容も当初は金融機関の職員がコンピューターを不正に操作して客の預貯金をだましとる類の事件が主流だったが違法薬物やわいせつ画像の販売、預貯金データの不正入力、情報の破壊や盗み出し、書き換えといった第三者による多様な犯罪が目立つようになった。今後、コンピューターを利用した取り引きや決済が普及すれば、電子経済犯罪が横行する危険性がいっそう高まることになる。 警察庁の「考え方」は、犯罪の入り口で不正アクセスを犯罪行為として取り締まろうとするものだ。対象を企業や官公庁などの事業用コンピューターとし、事業者に対しては捜査の手がかりとなるアクセス記録の保存を義務づける方針。 通信の秘密保護やコンピューターの記憶容量の面から異論が出そうだが、記録内容を限定すれば、負担も減らせるだろう。高度情報化社会の成熟のためには関係者の合意と協力が欠かせない。
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