水の世紀を生きる<第3部>
ブームの裏で

自然楽しむ遊びで汚染

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琵琶湖の底から引き揚げられたワーム類(8月31日、大津市・なぎさ公園)=水資源環境保全協会提供
 今年8月31日、大津市のなぎさ公園付近から湖に潜った横浜市の市民団体・水資源環境保全協会の佐藤巌さん(38)は驚いた。ミミズのような形をした「ワーム」と呼ばれる柔かいプラスチック製の擬似餌(え)が、岸から十メートルほどの湖底に散乱していた。

 「湖底の釣り具のごみは、バス釣りが盛んな山梨県の河口湖より多い。たい積している場所もあった」

 ▽湖底には疑似餌

 仲間のダイバーと3時間かけて湖底を掃除し、ワーム類約60キロを回収したが「これは全体の何万分の一。琵琶湖に沈んでいるワームの総量は想像がつかない」という。

 鉛や環境ホルモンとされる可塑剤が使われているワームもあり、滋賀県の調査で有害成分が溶け出していることも分かっている。ダイオキシン研究で知られる元高知大学長(環境化学)の立川涼さんは「一つひとつは大したことないが、数が増えれば将来、影響が出かねない。可塑剤は欧州では使用制限の動きがあるほどで、何らかの対策が必要だ」と指摘する。

 釣り具による環境被害が注目されたのは、釣り糸(テグス)による野鳥の被害がきっかけだった。日本鳥類保護連盟が昨年、全国402カ所の海岸や河川、湖沼で調査したところ、169カ所で放置されたテグスや釣り針、ワーム、浮きが見つかった。担当の城田慶さんは「テグスが絡まって死んでいる鳥が毎年たくさん見つかる。釣り人への啓発には力を入れているのだが…」と嘆く。

 「釣り被害」への批判を受け最近、水中なら数年で消滅し、水への影響が少ない生分解性プラスチックのワームやテグスが登場している。ところが、「(生分解性製品は)割高で、使うのは一部の意識が高いファンだけ」(京都市内の釣り具店)という。佐藤さんは「善意任せでは普及しない。すでに湖底に沈んでいるワームを回収する一方で、生分解性製品の使用義務付けも必要ではないか」と話す。

 琵琶湖では最近、新たな水汚染源として、水上バイクが注目を集める。市民団体・びわ湖自然環境ネットワークは昨年7月、独自の採水調査で水上バイクが排出する発がん性物質のベンゼンを検出したと発表し、規制論議に火をつけた。

 ▽体験教育が必要

 今月16日、滋賀県議会は2008年から水上バイクの航行禁止区域を設ける「琵琶湖レジャー適正化条例」を可決した。しかし、同ネットの寺川庄蔵代表は「一歩前進だが、禁止区域外なら水上バイクはOKというお墨付きを条例が与えてしまう恐れがある。琵琶湖を汚してまで遊ぶ必要があるのか」と、速やかな全面航行禁止を訴える。

 アウトドア活動を中心に環境教育に取り組む市民団体代表の西村仁志さん=京都市左京区=は「マナーやルールを守らないレジャー客が少なくないのは、日本人の多くが自然は便利に利用する対象と考えているからだ。規制だけでなく、子どものころから自然との付き合い方を体験教育を通して考えさせる必要がある」と提言している。


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